• "強風"(/)
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  1. 山形県議会 2022-02-01
    02月28日-04号


    取得元: 山形県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 4年  2月 定例会(第406号)  令和四年二月二十八日(月曜日)午前十時二分 開議議事日程第四号 令和四年二月二十八日(月曜日)午前十時開議第一   議第二十九号 令和四年度山形県一般会計予算第二   議第三十号 令和四年度山形県公債管理特別会計予算第三   議第三十一号 令和四年度山形県市町村振興資金特別会計予算第四   議第三十二号 令和四年度山形県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算第五   議第三十三号 令和四年度山形県国民健康保険特別会計予算第六   議第三十四号 令和四年度山形県小規模企業者等設備導入資金特別会計予算第七   議第三十五号 令和四年度山形県土地取得事業特別会計予算第八   議第三十六号 令和四年度山形県農業改良資金特別会計予算第九   議第三十七号 令和四年度山形県沿岸漁業改善資金特別会計予算第十   議第三十八号 令和四年度山形県林業改善資金特別会計予算第十一  議第三十九号 令和四年度山形県港湾整備事業特別会計予算第十二  議第四十号 令和四年度山形県流域下水道事業会計予算第十三  議第四十一号 令和四年度山形県電気事業会計予算第十四  議第四十二号 令和四年度山形県工業用水道事業会計予算第十五  議第四十三号 令和四年度山形県公営企業資産運用事業会計予算第十六  議第四十四号 令和四年度山形県水道用水供給事業会計予算第十七  議第四十五号 令和四年度山形県病院事業会計予算第十八  議第四十六号 山形県職員等の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十九  議第四十七号 山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定について第二十  議第四十八号 山形県個人情報保護条例の一部を改正する条例の制定について第二十一 議第四十九号 公衆浴場法施行条例の一部を改正する条例の制定について第二十二 議第五十号 山形県青少年健全育成条例の一部を改正する条例の制定について第二十三 議第五十一号 山形県国民健康保険財政安定化基金条例の一部を改正する条例の制定について第二十四 議第五十二号 山形県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例の制定について第二十五 議第五十三号 山形県指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の制定について第二十六 議第五十四号 山形県指定障害者支援施設の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の制定について第二十七 議第五十五号 山形県森林整備促進林業等再生基金条例を廃止する条例の設定について第二十八 議第五十六号 山形県空港管理条例の一部を改正する条例の制定について第二十九 議第五十七号 山形県港湾整備事業特別会計条例の一部を改正する条例の制定について第三十  議第五十八号 山形県立学校職員及び市町村立学校職員給与負担法に規定する学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例の制定について第三十一 議第五十九号 山形県県立学校設置条例の一部を改正する条例の制定について第三十二 議第六十号 一般国道十三号新庄金山道路工事用地の処分について第三十三 議第六十一号 包括外部監査契約の締結について第三十四 議第六十二号 別記各市町村と山形県との間の行政不服審査法第八十一条第一項に規定する機関の権限に属させられた事項を処理する事務の委託に関する規約の制定について第三十五 議第六十三号 別記各一部事務組合及び広域連合と山形県との間の行政不服審査法第八十一条第一項に規定する機関の権限に属させられた事項を処理する事務の委託に関する規約の制定について第三十六 県政一般に関する質問本日の会議に付した事件 議事日程第四号に同じ。出席議員(三十九名)  二番 梅津庸成議員  三番 今野美奈子議員  四番 菊池大二郎議員  六番 高橋 淳議員  七番 遠藤寛明議員  八番 相田光照議員  九番 遠藤和典議員  十番 梶原宗明議員 十一番 関  徹議員 十二番 山科朝則議員 十三番 菊池文昭議員 十四番 松田敏男議員 十五番 青木彰榮議員 十六番 青柳安展議員 十七番 五十嵐智洋議員 十八番 柴田正人議員 十九番 渋間佳寿美議員二十一番 矢吹栄修議員二十二番 小松伸也議員二十三番 渡辺ゆり子議員二十四番 石黒 覚議員二十五番 吉村和武議員二十六番 高橋啓介議員二十七番 島津良平議員二十八番 加賀正和議員二十九番 森谷仙一郎議員 三十番 鈴木 孝議員三十一番 楳津博士議員三十二番 奥山誠治議員三十三番 小野幸作議員三十四番 木村忠三議員三十五番 金澤忠一議員三十六番 伊藤重成議員三十七番 舩山現人議員三十八番 田澤伸一議員三十九番 森田 廣議員 四十番 坂本貴美雄議員四十一番 星川純一議員四十二番 志田英紀議員欠員(四名)説明のため出席した者知事          吉村美栄子君副知事         平山雅之君企業管理者       高橋広樹君病院事業管理者     大澤賢史君総務部長        大瀧 洋君みらい企画創造部長   小林剛也君防災くらし安心部長   奥山 賢君環境エネルギー部長   杉澤栄一君しあわせ子育て応援部長 松田明子君健康福祉部長      渡邊丈洋君産業労働部長      渡辺将和君観光文化スポーツ部長  斎藤直樹君農林水産部長      高橋雅史君県土整備部長      前内永敏君会計管理者       泉 洋之君財政課長        後藤崇文君教育長         菅間裕晃君公安委員会委員長    北村正敏君警察本部長       佐藤正顕君代表監査委員      松田義彦君人事委員会委員長    安孫子俊彦君人事委員会事務局長   佐藤紀子君労働委員会事務局長   富樫健治君 ○副議長(奥山誠治議員) 議長所用のため私が議長の職務を行います。     午前十時二分 開議 ○副議長(奥山誠治議員) これより本日の会議を開きます。 △日程第一議第二十九号議案から日程第三十五議第六十三号議案まで及び日程第三十六県政一般に関する質問 ○副議長(奥山誠治議員) 直ちに日程に入ります。 日程第一議第二十九号令和四年度山形県一般会計予算から、日程第三十五議第六十三号別記各一部事務組合及び広域連合と山形県との間の行政不服審査法第八十一条第一項に規定する機関の権限に属させられた事項を処理する事務の委託に関する規約の制定についてまでの三十五案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第三十六県政一般に関する質問を併せ行います。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 八番相田光照議員。 ◆8番(相田光照議員) おはようございます。自由民主党の相田光照です。昨年に引き続き和装での質問の機会を与えていただきました。先輩議員の皆さん、本当にありがとうございます。そして、傍聴に来ていただいた皆さんもありがとうございます。 さて、今の国際情勢に目を向けると、ロシア軍によるウクライナ侵攻はもとより、二十四日には中国の軍用機が台湾の防空識別圏内に入ったことが明らかになりました。我々日本人はこのことを我が事と捉えなければならず、議会としても何らかの意思は表示すべきと感じております。 我が事と捉えなければならない事柄は、オミクロン株によるコロナウイルス感染症の感染拡大もまた一つです。現在、県内では、第六波の収束する見通しが持てない状況です。お亡くなりになられた皆様に哀悼の意を表するとともに、現在感染されている皆様にお見舞いを申し上げます。また、病院や保健所などで尽力されている皆様には心から敬意と感謝を申し上げます。 この第六波において、幸い陽性とはなりませんでしたが、我が家族も濃厚接触者となりました。当事者になって感じることは、決して人ごとではなく、我が事と捉えて、いま一度、密を避け、消毒や予防を励行することを意識することだと感じました。 知事におかれましては、今年に入り公務に復帰したものの、骨折はまだ完治していないとお聞きしております。早期に完治することを心よりお祈り申し上げます。 まず初めの質問は、けがが完治していない状態でも国交省に赴いていただいた福島-米沢間のトンネル整備の実現に向けた政策についてお尋ねいたします。 代表質問にて我が会派の田澤先生が大所高所からお尋ねになりましたが、私からは、ハード面もソフト面も含め、専門的・技術的な部分を細部にわたり五点、知事及びみらい企画創造部長に質問させていただきます。 まず一点目は、フル規格新幹線トンネル整備に向けた知事の意気込みについてです。 トンネル整備事業は、昨年、JRとの共同調査の予算化で大きく前進し、今年に入り、知事の英断で実現に向けてさらに前進してきているようにも感じます。政治家である知事が国交大臣に要望を行い、JR東日本社長との意見交換を行っていただいたことは大きな意義があり、率直に感謝を申し上げたいと思います。 知事が動くということは、県として本気であることを示すものです。要望すればすぐに実現するというものではありませんが、幾度となく足を運んで関係性を深め、共に知恵を出していくことが最善の策であることは間違いありません。今後とも、県選出の与党三代議士と手を携えていただき要望活動を行っていただきたいと心からお願い申し上げます。 そこで、改めてお伺いいたします。 フル規格新幹線奥羽新幹線実現と福島-米沢間のトンネル整備事業、この二つのプロジェクトを考えますと、奥羽新幹線のフル規格での整備は国家事業、片やトンネル整備は民間事業、各実施主体は当然ながら異なるものの、長い目で見ると同じものと考えることもできます。それを考えれば、知事がおっしゃっているフル規格新幹線の実現を長期目標に掲げつつ、まずは、現在環境が整ってきているトンネル整備に本県の様々な資源を投入し注力することは賢明な御判断だと思います。当然ながら、フル規格の奥羽新幹線を諦めるということではありませんし、実現に向けて今後も活動していく必要性はあります。 以上を踏まえ、知事は今後どのような道筋でトンネルの整備に向けて取組を進められるおつもりなのかお伺いいたします。 二点目は、県内一丸となってトンネル整備をする必要性についてです。 福島-米沢間の抜本的な防災対策に関しては、JR東日本が平成二十七年度より調査を開始し、平成二十九年十一月に県に対してトンネル整備に関する報告がありました。調査開始から七年近く、最初の報告から四年余りが経過しました。その意味では、今年度の一連の動きは、今後に向けた施策展開の大きな足がかりになると思います。 その際、最も大切にしなければならないことは、県内一丸となる必要性です。オール山形の山形県奥羽・羽越新幹線整備実現同盟においても、トンネルの整備を喫緊かつ最優先の課題として、繰り返し政府への要望を行ってきたところではありますが、他方、庄内地方では、高速交通として主に飛行機が利用されており、鉄道を利用する際は上越新幹線を活用されることが多いのも事実であります。 今定例会冒頭の知事説明において、トンネル整備に関しては全ての関係者と手を取り合い、県内一丸となって取り組んでいくとおっしゃっているのであれば、庄内地方にとってこのトンネル整備がどういった意味を持つのかについても知事のお言葉でしっかり説明していく必要があると考えます。 そうした中、昨年十月、日本海の庄内北前ガニを陸羽西線で新庄駅まで運び、そこで山形新幹線に積み替えて東京駅まで輸送してランチで提供したというこの取組は、非常に面白い発想だと思ったところです。あえて新潟経由の上越新幹線ではなく山形新幹線で運ぶからこそPR効果もあるものと思います。 また、庄内地方の自治体で実施される釣りケーションは、航空会社や地元のバス会社とも連携しながら進めているものと聞いていますが、ぜひ鉄道とも連携していただきたいと思います。 折しも本年五月十四日からは、県内全域の路線バスにおいて、JRのSuica機能を有する交通系ICカード「チェリカ」の運用が始まります。山形新幹線はもとより、高速バスも含めた県内バス路線で広くキャッシュレス決済が可能になることで、県内全域の周遊性が高まることも期待できます。 トンネルの整備を県内一丸となって進めていくためにも、トンネルプロジェクトの中にこうした各地の地域活性化の取組や二次交通の利便性向上の取組などを効果的に取り込み、庄内地域を含めた県内各地域の発展につなげていくことが大事になると思いますが、知事のお考えをお尋ねいたします。 三点目は、県内全域で効果を発揮するための駅の活性化についてです。 県内全域でのトンネル整備の効果を最大化するためには、前述しましたが、鉄道と二次交通の連結性を高めていくことが重要であり、とりわけ、交通の結節点とも言える駅を中心としたまちづくりはとても重要です。 中でも主要駅の活性化は不可欠です。昨年末には山形駅に隣接する霞城セントラルに「スタートアップステーション・ジョージ山形」が開設され、年が明けた二月には、佐藤山形市長や県内のスタートアップ関係者による山形市創業アワード二〇二一決勝大会が開催されるなど、大いに盛り上がっていると聞いております。さらに、私の地元米沢駅でも、二階の多目的室を整備しコワーキングスペースの実証事業を一月から実施しており、四月からは実証事業の結果を踏まえてさらなる活用も予定されているようです。これは、市単独での試みではなく、県と連携した実証事業という点で評価できます。 このように、トンネルの開通前から、その整備効果を最大限発揮するため、県は各市町村とともに、ソフト面でもハード面でも駅の開発に協力する必要性があると思います。 山形新幹線を人の体に例えれば大動脈になり、拠点駅は人流を県内各地に力強く届ける言わば心臓とも言えるでしょう。加えて、路線バスなど二次交通、これも人の体に例えれば毛細血管とも言え、この交通手段を使って県内隅々にまで人流を送り届け、県全域の活性化につなげることが重要であります。今月十二日のYTSテレビ「提言の広場」でも、知事からは、「トンネルの効果を沿線全域、さらには県内全域へと波及させていくことが重要である」との御発言がありました。 では、具体的にどのように事業を進めていかれるのか、トンネル整備及び市町村行政の両方を担うみらい企画創造部長にお伺いいたします。 四点目は、トンネル整備の財源についてです。 山形新幹線は、ミニ新幹線というスキームで、整備新幹線より工期が短く、費用も少なく建設できました。地域にとっても、本県経済・観光にとっても非常に重要なアイテムとなっているのが山形新幹線です。それをより強力なものにしていくのがトンネル整備であり、将来のフル規格新幹線です。しかし、そのどちらも結局は財源が必要です。 トンネル整備の概算事業費は約千五百億円と見積もられており、JR東日本一社だけで行える事業なのかという懸念もあります。つまり、地元自治体である山形県が整備費用の一部を負担する覚悟があるかどうかというところも重要な視点ではないでしょうか。 これらを含め、この山形新幹線の特色を生かしつつ、JR東日本との交渉状況や今後の財源の見通しを、みらい企画創造部長にお伺いいたします。 最後五点目は、令和四年一月十四日の山形新幹線立ち往生についてです。 先月十四日夜、米沢市内は大雪に見舞われました。その影響でつばさ一五六号が走行困難となったのが午後九時五十分頃。その後、後続の上りの列車二本も米沢市内の駅や線路上で動けなくなりました。乗客数はおよそ百八十人。全員を別の列車で移動させるなどの対応を取ったものの、宿泊施設を確保できなかったおよそ六十人の方々は、山形駅に停車した列車内で一夜を明かしたそうです。 新幹線の交通障害への対応は、民間のJR東日本の責務です。しかし、果たしてそれで済ませてよいのでしょうか。我が会派の総会でも先輩の先生方から御意見をいただきました。「この事案は単に新幹線が不通になっただけで済まされる問題ではなく、山形新幹線と山形県のイメージを大きく損なうものだ」と。私もそう思います。さらに言えば、民間業者のこととはいえ、本県として何らかの対応は取られなかったものなのかとも感じています。 トンネルの必要性の根拠の一つは、この運休・遅延であります。少なくともトンネルが開通するまでの期間は、現在のルートでしっかり安定輸送する必要があります。 今回の立ち往生について、その事実関係と様々な不満が漏れたことに対するJR東日本との対話はどうなっているのか、さらには、今後同じようなことが起こった場合どのような対応を取っていかれるのか、みらい企画創造部長にお伺いいたします。 次に、若い世代が希望を持てる子育て環境の整備について質問いたします。 一九五〇年・昭和二十五年、日本の総人口は約八千四百十一万人、同じく山形県の人口は約百三十六万人。本県の人口のピークは、この昭和二十五年であります。片や日本のピークは十四年前、二〇〇八年・平成二十年の約一億二千八百八万人。この数値からも、地方から首都圏への人口流出が半世紀も続いていることがかいま見られます。 加えて、県の人口が減少している原因となっているのが出生数の減少です。本県の出生数は、第一次ベビーブーム期、一九四九年の約四万人以降、急激に減少し、十年で半数まで減少。その後も、私の生まれた七三年を含む第二次ベビーブーム期の七一年から七四年の間、やや上向きに転じましたが、その後は減少を続け、令和二年には六千二百十七人になっております。さらには、経済的な不安や出会いの減少、中には恋愛への憧れ消失などといった理由から未婚化や晩婚化など、少子化は進行し続けています。 首都圏への人口流入は、新型コロナウイルス感染症南海トラフ地震への危機意識から地方への回帰や移住などの変化の兆しが見えるものの、少子化というこのテーマは、本県が解決しなければならない課題、いや、日本国が正面から向き合っていくべき大きな命題だと考えています。 来年度予算案の最重要項目、言わば本県の一丁目一番地は、「『子育てするなら山形県』の実現」であります。令和四年度の取組を含め、コロナ禍後を見据えた本県の子育て環境整備についてお尋ねしたいと思います。 一言に子育てといっても、当然ながら様々な視点からのアプローチが必要です。本県も他県に先んじて婚活支援、子育て環境の整備、若い世代の雇用の確保や経済基盤の安定などに向けた総合的な取組を実施し、出会いから結婚、妊娠、子育てまで切れ目ない支援に取り組んでいます。 具体的には、オール山形で結婚支援を行うやまがたハッピーサポートセンター、妊娠や出産、子育てなどライフステージに応じたきめ細かな支援として不妊治療費の助成制度の拡大、子育て支援策として低所得や多子世帯に対する保育所・放課後児童クラブ利用料、子供の医療費などに対する助成などがありますが、特筆すべきは、全国に先駆けて子育て世代包括支援センターを県内三十五全市町村に設置していることです。これは全国でも七府県のみであり、間違いなく本県が最初の取組だったと思います。お母さん方が安心して妊娠・出産、子育てができるよう、保健師などの母子保健コーディネーターが妊産婦、乳幼児とその保護者から様々な相談を受け、親身になりながら、状況に応じた保健指導や、必要な情報・サービスの提供を切れ目なく行っています。やはりこの取組は、自治体間に差異がなく、県内どこででも安心して子供を産み育てられる取組だと思います。 ただし、これらだけで「子育てするなら山形県」が実現するわけではありません。より強力な魅力ある取組は必要です。ましてやコロナ禍が長期化しています。これにより、一昨年、令和二年三月から七月には、妊娠届出数が前年度に比べて急減しました。収束が見いだせない現在、今後への備えと不安から妊娠を先送りする人が増加しないとも限らないのです。やはり「子育てするなら山形県」の実現に向けての勝負の年は来年度だと思います。 私は、小学生、中学生、高校生の父です。妻も就労しています。この質問を作りながら改めて感じたことは、我々二人だけではここまで子育てをできなかったということです。もちろん祖父母の協力はありましたが、地域の方々に育ててもらったものと感じています。 私の住んでいる地域には、社会全体で子育てを応援する体制があります。恐らく、私だけが感じることではなく、多くの県民の方々が同じように感じているのではないでしょうか。つまり、これが山形県の魅力の一つです。さらに言えば、社会の最小単位である家庭・家族の大切さをいま一度再認識でき、地域を巻き込んだ子育て支援策をつくり上げていくことが、「『子育てするなら山形県』の実現」に向けた一歩になるはずです。 そこで、しあわせ子育て応援部長にお尋ねいたします。コロナ禍が長期化する様相を呈している中、様々な環境の変化に対応しつつも、若い世代が希望を持って子育てできる環境の整備をどのように進めていかれるのか、来年度の施策展開も含めお伺いいたします。 続いて、今冬の大雪による農林水産被害への対応について質問いたします。 私と隣人の方とで早朝幾度となく交わされた会話は、「いやー、まず雪降ったな」と、「いつまで続くんだべねす」。こんなやり取りがこの冬ずっと続きました。私自身、雪下ろしの回数は初めて月に一回、もう三回を数えました。 山形市、大蔵村肘折、最上町向町、酒田市などの県内の積雪深を計測する十四のアメダス観測地点では、全て平年値を上回る積雪深を記録しました。さらには、二月二十五日現在で雪害により死傷された方々は百八十人を数えます。衷心よりお亡くなりになった皆様の御冥福をお祈りするとともに、負傷された皆様にお見舞い申し上げます。 地元米沢市では、お亡くなりになられた方が二名、けがをなされた方が二十五名と、人的被害が県内でも圧倒的に多数であり、一月七日には、豪雪の年と言われた昨年度は設置されなかった豪雪対策本部が、設置基準前に県内で最初に立ち上がりました。 今冬の米沢市内での雪の降り方は、平年とは違い、低温による軽い雪が大量に長時間にわたり降雪し、西からの暴風で舞い上がり、庄内地方の吹雪のような暴風雪となりました。東側にそれが堆積する。日が当たり、それが解け、夜半の低温で氷状に変化し、また大量の雪が短時間で降り積もる。これが屋根の上でも道路の上でも確認できたことが今冬の特徴です。 降雪・積雪が、人命や心身面以外にも、生活・交通面そして産業面など、様々な形で大きな被害をもたらしたことは言うまでもありません。これは、米沢市のみならず、県内どの自治体でも同じことです。そして、これらに対しては、県も含め各市町村において除雪費の補正等何らかの形で対応や支援をしています。しかし、大雪による被害の中には、支援対象に当てはまらず、対応してもらえるか不安を抱いている被害もあります。それが質問の要旨である農林水産被害です。 現時点での被害数量は、農作物等被害で十三件一・一ヘクタール、パイプハウス等の施設被害で百十一件、森林関係被害で二件であり、被害額は約九千万円であります。もちろん、調査中の被害や融雪した春先に分かる被害もありますが、今年度の被害数量は、昨年度冬に比較して、作物被害で約五百八十八ヘクタール、施設被害で約三千件、被害額においては約十九億円以上も少なく、言わば雪による被害の少ない年とも言えると思います。 昨年度同様、県単独の農林水産物等災害対策事業等の支援策を講じていくのであれば、発動すべき全県の被害総額の数値基準は必要です。しかし、総数値だけでは見られない部分、局地的に被害を受けている自治体の状況などを勘案して対応していく必要性も今冬はあるのではないでしょうか。 現に被害は出ています。昨年の大雪に耐え得た施設も、今冬は倒壊した事例もあります。被害状況の確認に園地へ行きたくとも、除雪費がかかるため雪解けを待たざるを得ない場所もあります。地域によっては昨年度よりも被害が出ている自治体もあるのです。雪害への支援は、各自治体間で差をつけてはならず、県が主導的に行っていただきたい。県のリードが自治体の協力と連携に必ず結びつきます。 農林水産業は本県の礎です。このような思いからも、今冬の積雪による農林水産被害への対応は本県としてどのように進めていかれるのか、農林水産部長にお伺いいたします。 最後の質問に入ります。 清潔の保持、読み書き能力、計算能力、生活の目標、コミュニケーションの手段、作業の動機づけや作業内容の理解、勤務先の選定及び就職先との調整。これらは、特別支援学校高等部において就労を目指す生徒たちが学びの中から習得していかなければならない事項です。特に、勤務先の選定及び就職先との調整に関しましては、生徒単独でできるものではなく、生徒の特性等を生かした就労先の開拓や企業側の理解がなければ就労への道は閉ざされます。つまり、大人の力が多大に必要なのだと私は感じています。 このことから、特別支援学校における就労支援について二点質問いたします。 まず一点目は、就労支援コーディネーターの活動状況についてです。 東京オリンピック・パラリンピックの開催を機に、障がいのある人もない人も共に学び、共に活躍する社会づくりの機運が高まっております。障がい者の社会参加・活躍の推進は、SDGsが目指す「誰一人取り残さない」グローバル社会の考えにも沿っており、大変重要なものと考えます。この機を捉えて、本県においても、共生社会の形成に向けて、一人一人の障がいの状態や発達の状況に応じた就労支援の一層の充実を図る必要性があるのではないでしょうか。 私も、令和二年九月定例会予算特別委員会において、障がいの特性を生かし、意欲に応じた知的障がい者の活躍の推進について質問いたしました。その際、特別支援学校を卒業する生徒の就労を支援する就労支援コーディネーターについて、それまでの全県一名の体制からの拡充をお願いし、教育長からは、研究・検討を進めるとの答弁をいただきました。その後、本年度においては一名拡充され、全県二名体制としていただきました。それを踏まえ、令和三年度二名体制となった就労支援コーディネーターの活動状況はどうであったか、また、それに対する評価はどのようなものであるか、教育長にお伺いいたします。 最後の質問は、今後の取組についてお尋ねいたします。 コロナ禍により、雇い止めや採用内定の取消しなど新たな社会課題が顕在化し、脆弱な立場にある人ほど困窮しやすい状態が続いています。このことは、障がいのある生徒たちとて同じような状況のようです。 我々自民党会派では、特別支援教育推進議員連盟を設立し、毎年度、特別支援学校・養護学校の学校現場に赴き、児童生徒の学習の様子を参観し、現場の教員の皆様の声を聞く活動を重ねています。本年度は、鶴岡高等養護学校をはじめ、庄内、最上地方の学校を視察させていただきました。その視察の際、伺ったことは、コロナ禍により職場実習の受入先と一般就労として採用している企業数が減少しているということでした。 そんな状況の中でも、教員の皆さんは、就労ということが子供たちにとってとても重要であり、何とかその子が進路実現を果たせるように支援したいという気持ちで積極的に活動しています。もちろん、就労支援コーディネーターの存在による効果は計り知れないとの意見もお聞きしました。 あわせて、保護者会の組織である山形県特別支援学校知的障がい教育校親の会からも様々な意見・要望を拝聴しております。保護者からは、コロナ禍だからこそ特に就労に係る不安や懸念が強く寄せられており、就労支援コーディネーターの有効性・有用性を高く評価する声はもとより、今年度の増員への評価とともに、何とかさらなる就労支援の充実をとの声も数多く聞かれました。 このような生の声を背負っている者として、来年度の予算にも記載項目がありますが、今後どのような形で就労支援のさらなる充実を図り、どう取り組んでいくのか教育長にお伺いいたし、私の壇上からの質問とさせていただきたいと思います。ありがとうございます。 ○副議長(奥山誠治議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) おはようございます。相田議員から私に二問御質問を頂戴しましたので順次お答え申し上げます。座って失礼いたします。 一問目は、フル規格新幹線トンネル整備に向けた意気込みについてでございます。 本県発展のためには、その基盤となる社会資本の整備が不可欠であり、新幹線は重要な柱の一つであります。 思い起こしますと、青森までフル規格新幹線がつながったその後だったというふうに記憶しておりますが、私が公務で上京した折に、若いビジネスマンから「山形は青森までの距離の半分なのに、どうして同じくらい時間がかかるのか。ビジネスで山形に行きたくない」と痛烈な一言が発せられました。私は大変大きな衝撃を受けました。首都圏の若いビジネスマンがそのように山形県を感じているのか、このまま永久に太平洋側から遅れてしまっていいのか。次世代のためにも何としてもフル規格新幹線を通さなければならないと強く決意したところでありました。 また、本県は日本海に面した県でありますので、新たな国土軸の形成や大規模災害時の補完性のためにも本県にフル規格新幹線を通すべきとの思いで、平成二十八年に山形県奥羽・羽越新幹線整備実現同盟を立ち上げ、政府への要望活動や県民の皆様の理解促進、機運醸成に取り組んできたところです。 一方で、フル規格新幹線は整備実現までに長い期間を要することから、将来のフル規格実現を見据えつつも、優先度の高い具体的な課題に正面から向き合って、一歩一歩着実に進める必要があると考えております。そのための最初の大きなステップが山形新幹線の米沢トンネルであります。 このトンネルの整備は、建設だけでも十五年、調査なども含めれば二十年以上を要するビッグプロジェクトでありますから、財源スキームの検討や沿線及び県内全域の活性化も含めて、長期的な戦略を持って取り組まなければなりません。こうしたことから、トンネル整備を前に進めるべく、令和四年度予算案にJR東日本との共同調査に係る費用を計上しております。まずはこの調査をJR東日本とともに着実に進めていきたいと思っております。 同時に、同社との間で、今後の財源スキームや沿線等の活性化に関する協議を進めるとともに、政府からの財政支援に関しましても、県選出の国会議員の皆様や経済界、JRなどとともにしっかり要望していきたいと考えております。 私は、米沢トンネルは本県の未来を開く希望のトンネルだと思っております。今回の共同調査を機に、JR東日本との連携をより一層強固なものとし、また、県内の全ての関係者が手を取り合い、一丸となって、米沢トンネルの早期実現に向けて全力で取り組んでまいります。 二点目は、県内一丸となってトンネル整備をする必要性についてであります。 米沢トンネルは、完成まで長い期間と多額の工事費を要するビッグプロジェクトでありますから、完成までの長期間、県内一丸となって取り組んでいく必要があります。そのためには、トンネル整備の効果を今の段階から県内各地域に波及させることが重要であり、トンネルという「点」から鉄道沿線開発という「線」、そして県内全域の発展という「面」へと広げていく取組の展開が重要でございます。 こうした観点から、これまでも、山形新幹線を活用した様々な荷物輸送や、昨年十二月のワーケーション新幹線の運行、さらには駅に直結するコワーキングスペースの整備などを行ってきたところであります。こうした付加価値向上を目的とした施策を広く展開し、庄内地方も含めた県内全域にトンネルの整備効果を波及させるためには、県内の様々な交通手段の連結性向上が不可欠であります。 以下、リダンダンシー、周遊性、そしてまちづくりの三つの観点から、連結性向上に向けた取組について述べさせていただきます。 まず、リダンダンシーの観点から庄内地方の実態を考えますと、冬の間の雪や荒天が交通障害の大きな原因となっております。例えば現状では、大雪や荒天時に庄内空港が使えなくなり、庄内地方から東京に行きたいというケースですと、車やバスで内陸部に向かったとしても、山形新幹線が板谷峠で不通になると、仙台まで行ってから東京に向かう必要が出てきます。今後、米沢トンネルが開通して板谷峠の輸送障害が解決すれば、今のケースでは山形新幹線から首都圏に直接アクセスすることができるようになり、大幅な移動時間の短縮と利便性向上につながります。このように交通手段の選択肢を増やすことは、大規模な災害時のリダンダンシーにも大いに寄与すると考えております。 次に、周遊性であります。コロナ禍を受け、県内観光業の回復を図り地域経済の活性化を図ることは、本県の重要な課題であります。今後のポストコロナに向けた滞在型観光や広域周遊型のツーリズムの推進のためにも、トンネルの整備が重要であります。例えば、首都圏から山形新幹線で県内に入り、バスやレンタカーを使って内陸及び庄内を観光した後、庄内空港から帰るといった広域周遊型ツーリズムにより本県での滞在日数を増やし、経済効果を高めることが可能となります。トンネル完成で安定性・速達性が向上した山形新幹線を活用することで、本県観光の周遊性が大幅に高まり、県内全域にその効果が及ぶこととなります。 最後にまちづくりについてであります。昨年、ある新聞社が貸しオフィスの数や通信インフラの整備状況等を基にテレワークに適した環境が整っているかどうかを調査したところ、全国の主要自治体の中で、酒田市が二位、鶴岡市が十位にランクインしました。酒田市には、スタートアップ支援機能を有する「サンロク」や「LIGHTHOUSE(ライトハウス)」といったコワーキングスペースがあり、鶴岡市に所在するワーケーション施設「海テラスゆら」などとともに、庄内地方に新規ビジネスやテレワーク、ワーケーションの拠点が整ってきております。 さらに、本年四月には酒田港に新たな交流拠点が開設される予定であるほか、飛島でも交流人口の拡大等のためデジタルを活用したスマートアイランドプロジェクトが展開されています。また、鶴岡サイエンスパークでも昨年新たなスタートアップ企業が生まれるなど、スタートアップの集積が加速化しております。 こうした庄内地方における新たな動きを含め、県内各地の様々な拠点同士をつなげていくためにも、鉄道やバスなどの交通の拠点として駅中心のまちづくりが重要であります。本年五月に県内の路線バス等に一斉導入されるICカード「チェリカ」は、路線バスはもとより、仙台方面の高速バスでも利用可能であり、地域内外から集まる方々のスムーズな移動と利便性向上に資するものであります。 以上、リダンダンシーや周遊性、まちづくりといった視点も踏まえ、県内交通網の連結性向上の取組を強力に推進することで、米沢トンネルの整備効果を、庄内地方を含め県内全域に波及するよう引き続き取り組んでまいります。 ○副議長(奥山誠治議員) 小林みらい企画創造部長。 ◎みらい企画創造部長(小林剛也君) 相田議員から私に三問御質問がございましたので順次お答えいたします。 県内全域で効果を発揮するための駅の活性化についてお答え申し上げます。 米沢トンネルの整備効果を最大化するためには、鉄道利用者を増やすとともに、駅とその周辺における人流を増やす必要がございます。 本県は、過去数十年の間に典型的なマイカー社会となり、生活や仕事の中心が郊外に移った結果、鉄道駅がまちの中心とは言い難い地域も数多く存在します。この結果、令和三年度県政アンケート調査によれば、鉄道の利用頻度について、「ほとんど利用しない」もしくは「一年に数回」と答えた方が全体の九割を超えており、こうした状況が続けば、米沢トンネルの整備効果を高めることは困難です。 鉄道駅は、その機能面に着目しますと、鉄道を使った駅から駅への移動のほか、駅からバスや自家用車で自宅や職場、学校を往来するといった交通の結節点としての役割もございます。とりわけ、車を持たない学生さんや免許返納後の高齢者の方々、さらには県外からの来訪者にとって、公共交通は不可欠な交通手段でございます。 以上を踏まえれば、米沢トンネルの整備効果を高めていくためにも、鉄道利用の促進に加えまして、駅の拠点化と二次交通網の整備が必要であります。 具体的には、チェリカの導入により駅と周辺地域との間に二次交通による人の流れを増やすと同時に、駅を拠点として買物施設や企業、教育機関、医療機関、文化施設等を集積することで、遊びや買物でも訪れたくなるようなまちづくりを推進することが重要と考えます。 今後とも、市町村とともに、駅や駅周辺の商業・娯楽機能の向上、さらには駅周辺の回遊性の向上なども念頭に置きつつ、鉄道駅を拠点としたまちづくりについて話し合い、本トンネルプロジェクトの収支採算性を高めてまいります。 次に、トンネル整備の財源についてお答え申し上げます。 米沢トンネルの整備については、事業主体のJR東日本からは一定の公的負担を要するとの考え方が示されており、これまでも、政府に対して累次にわたる財政支援の要望を行うとともに、来年度予算案の中では、JRとの共同調査費を県として計上することで一定の財政負担を行うこととしております。 しかし、米沢トンネルは概算で千五百億円という巨額の事業費を要するプロジェクトであることから、国・県の厳しい財政状況に鑑みれば、本プロジェクトに係るJR東日本の受益効果を高めることにより公的負担を極力減らし、早期事業化に取り組んでいくことが効果的と考えます。 具体的には、駅直結のビジネス拠点を整備することや、県の特産物の荷物輸送により新たな需要を喚起することなどで、先ほど述べました駅を中心としたまちづくりや地域の魅力発信を行うことが重要と考えております。 山形新幹線は、その企画段階において、フランスの高速鉄道であるTGVを参考にしながら構想が練られたものと伺っており、高速鉄道の終着駅から在来線に乗り入れた後、地方都市へと直通運転を行うことで、比較的規模の小さな駅にも乗り入れが可能となっているということに大きな特徴がございます。これは、取りも直さず、山形新幹線は沿線の各自治体が創意工夫により特徴ある活性化策を進めることのできる交通インフラであるということもできます。 米沢駅や山形駅、さくらんぼ東根駅、新庄駅に整備されているリモートワーク拠点やスタートアップ拠点といったビジネス機能、高畠駅直結の温泉施設、また、山形駅前の山形県総合文化芸術館での音楽や演劇の公演など、各駅にはそれぞれ特徴がございます。こうした多彩な資源をJRや民間事業者とともに生かし、まちづくりなどを通して経済的効果に結びつけることで地域の活力とJRの受益効果を同時に高め、本トンネルプロジェクト全体の収支採算性を高めてまいりたいと思います。 最後に、令和四年一月十四日の山形新幹線立ち往生についてお答え申し上げます。 一月十四日発生の山形新幹線の立ち往生事案に際しては、県として直ちにJRに状況確認を行うとともに、再発防止策を早急に講じるため、その一週間後の一月二十一日そして二月七日の二回、JR東日本仙台支社や県、米沢市などの関係者による緊急連絡会議を開催いたしました。 JRからの説明によれば、一月十四日、当日は、先行列車の運転士からの連絡などを受けて、先行列車通過時の積雪量などであれば後続の列車も運行可能であると判断したこと、しかしながら、平野部での大雪の影響により後続列車に遅延が発生し、先行列車との間隔が開いてしまったことによって後続列車が山間部に到着した頃には予想以上の積雪量となり立ち往生したこと、乗客対応に関しては、乗客が多数かつ深夜であったことから近隣のホテルの手配は困難と判断し山形駅まで向かって車内での仮泊を御案内した、という説明がございました。 これに対して県からは、積雪量の把握の精度の向上や、よりよい運行判断の必要性を指摘した上で、県などが把握している降雪・積雪情報を積極的にJRに提供していくという旨の御提案を行うとともに、今後、万が一同様の事案が発生した場合のBCPが必要であること、そして、あらかじめ地元自治体や宿泊事業者団体と連携して、深夜であっても迅速にホテル等の手配が行えるような連絡体制の構築を御提案申し上げました。 この提案を受けて、JRからは、第二回会議においてですけれども、今後は積雪量が一定量以上であるといったような場合には山間部に複数の列車を入れないような運用方針が示されるとともに、必要に応じて県から積雪量などの情報を提供できるような連絡体制の調整がなされ、これは第一回連絡会議直後の一月二十七日から運用がなされているところでございます。 また、米沢市からは、JRに対してホテルなどのリストが提供されたほか、市内の関係団体に対しても宿泊受入れの協力要請、協力依頼を行っていただきました。 抜本的な防災対策は米沢トンネルですが、トンネルが完成するまでの間も高いレベルで安全確保と安定輸送、これは通常相反するものなんですけれども、安全確保と安定輸送の両立が実現できるよう、さらなる利用者目線に立った運行に対して、県としてもしっかりと協力してまいりたいと考えております。 ○副議長(奥山誠治議員) 松田しあわせ子育て応援部長。 ◎しあわせ子育て応援部長(松田明子君) 若い世代が希望を持てる子育て環境の整備についてお答え申し上げます。 若い世代の方々が将来に希望を持ち、安心して子供を産み、子育ての楽しさと幸せを感じながら暮らし続けることのできる社会、それは、県も市町村も県民の皆様も同じく望む姿であると思います。 その実現に向け、県では、出会いから結婚、妊娠・出産、子育てまでの支援について切れ目なく取り組むとともに、赤ちゃん応援メッセージや子育て応援パスポート、他孫育て、家庭と仕事の両立支援策等社会全体で子供の誕生を祝福し、子育てを応援する機運醸成にも力を入れてまいりました。今年度は、さらに、出産支援金の給付と保育料無償化に向けた段階的な負担軽減を開始するとともに、私立高等学校の授業料等軽減支援を拡充いたしました。 来年度は、コロナ禍の長期化を受け、きめ細かな支援策として、結婚、妊娠、子育てのそれぞれのステージにおける「山形しあわせLIFE応援プログラム」を展開したいと考えております。 まず、結婚のステージでは、スマートフォン等から利用できるAIマッチングシステムを導入し、新たな出会いの機会を創出いたします。また、結婚式を挙げたカップルとその参加者から結婚や結婚式のすばらしさをSNSで発信いただくことで、ブーケトスのように幸せを次の幸せにつなぎ、結婚の機運醸成を図ります。 次に妊娠のステージです。令和元年、約三組に一組の夫婦が不妊に悩んでおり、約十四人に一人が不妊治療により誕生しております。本県は、全国に先駆けて不妊治療へ助成するとともに、政府に対し制度充実の提言を続けてきましたところ、今年四月から保険適用されることとなりました。しかしながら、これまで助成金内で治療費を賄えていた方には自己負担が生じることとなり、当該負担相当分について独自に助成したいと考えております。 さらに、子育てのステージでは、父親が子供連れで外出する際の不自由さという声を受け、子育て家族を社会全体で見守れるよう、授乳等ができる「赤ちゃんほっとステーション」を整備するほか、父親の家事・育児力を高めるガイドブック等を作成いたします。 県としましては、全国トップの子育て環境を探求し、県内の方からも県外の方からも山形県で子育てがしたいと思っていただける「子育てするなら山形県」の実現に向け、政府や市町村、そして県民の皆様と一緒になって取組を進めてまいります。 ○副議長(奥山誠治議員) 高橋農林水産部長。 ◎農林水産部長(高橋雅史君) 今冬の積雪による農林水産被害への対応についてお答え申し上げます。 今冬は、昨年末から断続的に大雪に見舞われ、県内各地で平年を大きく上回る積雪を観測しており、果樹の枝折れやパイプハウスの倒壊等を中心に甚大な農林水産被害が発生した昨冬と比較しても、同等か、地区によっては昨冬を上回る積雪状況となっております。 降雪の経過を見ますと、昨冬は、十二月中旬に湿った重い雪が二度にわたり降って、一度目の除排雪が行き届かないうちに二度目の降雪となったため、村山地域を中心に果樹の枝折れが大量に発生したことに加え、一月上旬の暴風雪により、庄内地域では耐用年数を超えた管径の細いパイプハウスの倒壊が相次ぎましたが、その後は比較的晴天の日が多かったこともあり、三月までに順調に融雪が進んだ経過がございます。 一方今冬は、十二月下旬に大雪となって以来、低温が続く中で断続的に降雪があったため、例年積雪深のピークとなる二月中旬以降も融雪が進まず、積雪深が累増しております。特に村山・置賜地域での積雪が多く、いずれも気象庁の二月二十四日現在の観測で、山形では前年比五十八センチ増、平年比三六〇%となる七十二センチ、左沢では前年比三十二センチ増、平年比二二八%の百五センチ、米沢では前年比二十センチ増、平年比二二三%の百四十五センチを観測しております。 今後を見通しますと、積雪量が非常に多いことから、融雪の遅れによる春作業への影響、融雪期における雪の沈降による果樹の枝折れや農業施設の損壊等も懸念され、園地や圃場へのアクセスに必要な農作業道の除雪負担も大きくなることが懸念されております。 こうした状況、さらには市町村からも融雪対策、農作業道の除雪支援等に係る要望が寄せられていることにも鑑み、県といたしまして、一つには融雪剤の購入等に要する経費を支援する融雪剤購入事業、二つには除雪のための作業委託や除雪機械の賃料及び燃料購入費を支援する農作業道除雪緊急支援事業を実施することとし、本日から発動いたしたいと考えております。 また、被害が生じているパイプハウスや畜産関係施設等の農業被害につきましては、園芸・畜産関係の既存事業を最大限活用し、被災された生産者の意向を十分に伺いながら、積極的に対応してまいります。 引き続き、市町村やJA等関係者と連携しながら、被害の迅速な把握と農業者の皆様の営農意欲の維持に向け、適時適切な対策を講じてまいります。 ○副議長(奥山誠治議員) 菅間教育長。 ◎教育長(菅間裕晃君) 特別支援学校における就労支援についてお答え申し上げます。 知的障がいのある生徒の就労につきましては、企業に雇用のノウハウがないことから採用に至らない場合が多くあること、企業側に生徒は単純作業など就労内容が限られるという認識があり就労先が限られていること、就労後、ミスマッチなどにより早期に離職するケースがある、などの課題が報告されております。 これらの課題に対応するため、今年度は、就労支援コーディネーターを拡充し、知的障がいの特別支援学校二校に配置しております。各コーディネーターは、障がい者を雇用したことのない企業へも何度も訪問し、企業が求める人材を把握するとともに、生徒の学校での作業や支援の様子が分かる動画や資料をタブレットで見せるなど、一人一人の障がい特性に応じた配慮事項や得意分野などを繰り返し丁寧に説明し、新規開拓に結びつけてまいりました。 さらに、生徒個々の特性を踏まえ、実際の仕事の中から実施可能な仕事を切り出して提案し、業種の拡大につなげてまいりました。この結果、製品の動作確認検査や機械を操作しての部品製作など、これまであまり雇用実績のなかった分野に就労が内定した生徒もおります。 このように、コーディネーターを複数名配置することで、これまで教員では難しかった、時間をかけた丁寧な就労先の開拓が行え、継続した訪問により、企業との信頼関係も向上しております。 次に、今後の取組についてお答え申し上げます。 こうした実績を踏まえ、令和四年度は二名増員し、県内四地区に配置することとして、各地区内の労働、福祉機関とより密接に関わりながら就労先の開拓を行ってまいります。また、継続して配置することにより、生徒の強みを生かした働き方を好事例として蓄積し、紹介することを通して、企業側の視点も踏まえた就労支援を進めてまいりたいと考えております。さらに、コーディネーターと教員が協働し、就労後の職場定着のためのフォローアップの充実も図ってまいります。 今後、就労支援コーディネーターを中心に関係機関との連携をより深め、既卒者の就労情報とも関連づけながら、特別支援学校における就労支援の一層の推進に取り組んでまいります。 ○副議長(奥山誠治議員) この場合、休憩いたします。 午前十一時十五分再開いたします。     午前十一時五分 休憩     午前十一時十五分 開議 ○副議長(奥山誠治議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 六番高橋淳議員。 ◆6番(高橋淳議員) おはようございます。県政クラブの高橋淳です。本日の質問の機会を与えていただきました会派の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。 最初に、ロシアが全面的に侵攻したウクライナでは、各地で激戦が続いていると報道されています。亡くなられた方、そして、住居を追われ国内に避難されている方や国外に脱出した方々も多く、今後も市民や民間人を含めての安否がとても心配です。ロシアは国際秩序の根幹を揺るがすものであり、私どもも断じて受け入れられません。一刻も早く平和が戻ってほしいと願うところでございます。 さて、県内においては、年末年始から二月上旬にかけて暴風雪や豪雪に見舞われたところであり、そして、今年に入ってから県内でも新型コロナウイルス感染症の第六波が猛威を振るいました。いまだ県内においても感染の確認が続いておりますが、一日も早く収束に向かって、ポストコロナ社会が到来することを強く願っております。 あわせまして、急速な感染拡大により各地で医療体制が逼迫している中、昼夜を問わず治療に御尽力されました医療従事者をはじめ、エッセンシャルワーカーなど多くの皆様方に改めて感謝を申し上げる次第です。 また、雪害やコロナ感染でお亡くなりになりました方に謹んで哀悼の意を表しますとともに、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。そして、新型コロナウイルス感染症に遭われた皆様方へお見舞いを申し上げる次第です。 さて、未曽有の大災害となった新型コロナウイルスの感染拡大により、これまでの暮らしや働き方も変容を余儀なくされました。それらに加え、脱炭素への取組がもたらす世界経済の構造転換、デジタル化、食料安全保障への危機意識、さらには、各国で昨年からその兆候が見えてきたインフレが顕在化しつつあります。 ポストコロナを見据えた後も、少子高齢化、環境問題、観光、医療、教育、福祉、防災・減災、デジタル化などの多くの課題は山積しておりますが、厳しい局面にある今こそ、未来への展望が必要です。これからどうなるか、それらの対応をどうするかなど、自らの創意工夫、地域主導の独自のアイデアやビジョンで社会の仕組みを地域から変える、推進・実践する将来のビジョンを描く力、そして政策の転換が求められていると思います。 決して、今年も平穏な年とはいかないかもしれませんが、近年の状況を踏まえると、今後の気象災害も大変危惧されるところです。そして、新型コロナウイルス感染症の第六波の先には必ず第七波、第八波がやってくるはずです。 引き続き、県民の命と暮らしを守るため、県内でのワクチン接種の加速化はもちろん、山形県の経済再生に向けてみんなで力を合わせて進んでいきたいと思っております。 それでは質問に入ります。 新型コロナの第六波が県内でも猛威を振るっております。一月末時点においては、新規感染者の約七割が庄内地域を占めるなど、特に庄内地域での急激な感染拡大に危機感を抱いたところです。学校や保育施設などで多数のクラスターが発生し、学校現場や保護者なども混乱いたしました。そして、病院の発熱外来には患者が殺到し、医療現場などにおいても電話が一日中鳴り続いていたと聞いています。 病院においては、コロナ以外の救急患者や入院患者の検査もある。感染力が強いオミクロン株により、院内感染対策はもちろん、緊張感を維持しながら、万が一の緊急事態を想定し体制を整えて業務に当たられたと思います。また、高齢者施設などにおいて、看護師や介護士が感染や濃厚接触者になったりすると介護サービスの低下につながるおそれがあることから、訪問介護やヘルパーの方も心の戸惑いを抱いたとお話しされていました。 この拡大の要因の一つとして、気の緩みもあったものと思います。昨年来、県内でも二回目のワクチン接種が順調に進み、感染も低水準で推移していたことから、正直、私も「ワクチンを接種すれば大丈夫」と、心のどこかで安心感を抱いておりました。しかしながら、日本国内外においてオミクロン株の感染のスピードは圧倒的に速く、一旦学校現場などでクラスターが発生すると、家族はもちろん、職場などに簡単に飛び火し、かかりつけ医や受診相談センター、検査診療機関、そして保健所などの機能を圧迫している状況です。 このような状況において、今、私たちができることは、何度も繰り返しになりますが、正しいマスク着用と小まめな換気、手洗い・手指消毒など、基本的な感染防止対策のいま一度の徹底によって個々の防御力、免疫力を高めていくことに尽きます。これらで一〇〇%万全ということではありませんが、今後、三回目のワクチン接種や新薬の開発なども期待され、コロナ拡大を抑え込む条件が整うものと思います。 県は、クラスター発生が相次ぐ学校や保育施設に対して、感染防止対策の強化方針を打ち出し、医療関係者が関係機関に対応策を助言する支援タスクフォースを庄内地域に設置するなどの対応をいただきました。迅速な対応に感謝を申し上げますとともに、今後も、急激な感染拡大や医療崩壊を防ぐために新規感染者数を抑える必要があります。 私は、急激かつ爆発的な感染者を抑え込むには、各保健所による積極的疫学調査が最も重要なポイントであると感じています。また、厚生労働省の新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム「HER-SYS(ハーシス)」も業務量の縮小が図られ、とても有効であると思っています。 保健所では、患者の調査、書類作成に患者一人当たり約三十分を要し、保健師一人当たり一日十人以上の調査が必要とお聞きしています。収束が見えないコロナとの闘いのため、膨大な時間外勤務によって身体の不調を訴える職員もおられると思います。 現在直面している県政最大の課題は、コロナから県民の命と健康を守り抜き、県内経済の再生を果たすこと。そのためには、何より現下の急激な第六波の感染拡大をいち早く収束させ、正常に戻すことが最優先でありますが、このようにこの感染拡大の速さを目の当たりにして、果たしてこれまでの方法で耐え切れるのだろうかと懸念しております。 職員の体制を含め、今後、感染拡大時にどう対応していくのか、県の考え方を健康福祉部長に伺います。 次になりますが、令和四年度予算の編成に当たっては、第四次山形県総合発展計画の基本目標である「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現に向け、令和四年度県政運営の基本的考え方に基づき、「子育てするなら山形県」と「健康長寿日本一」の実現、「県民幸せデジタル化」「『一人当たり県民所得』の向上」、そして「やまがた強靱化」の五つの視点を重視・強化し、ウイズコロナ、ポストコロナの県づくりを推進する施策を展開していく考え方でありますが、将来に向けたこれらの施策を展開するためには、行財政改革に向けた取組を着実に推進し、行財政運営の全分野について不断の見直しを行いながら持続可能な財政運営を確保しなければならないことは言うまでもありません。 未曽有の大災害による新型コロナウイルス感染症などの社会経済環境の変化に伴い、行政分野でのデジタル化やオンライン化などの課題やリスクが顕在化している中、政府の動向としても、それらの対応が急務となっており、住民の利便性向上、事務の効率化など、政府もデジタル庁を創設するなどの見直しが急速に進められています。 また、中国ではデジタル技術の開発と社会への実装が猛スピードで進んでおり、行政サービスのデジタル化はもちろん、「全国民のデジタル技能を引き上げ、情報サービスのカバレッジを完全なものにする」と明記されています。 昨年十月、デジタル庁では、現在公開されている各種統計データでは捕捉できていない国民のデジタル活用実態を把握するため、「日本のデジタル度二〇二一」のアンケート調査を実施したところでありますが、都市部と地方は対照的であり、個人のデジタル利用状況分析では、レトロデバイスであるテレビが全体で九四・六%と高く、保有率の一番が佐賀県九九・四%、二番目に山形県九八・二%、続いて愛媛県、徳島県、福島県となっています。情報収集媒体としても毎日活用している方は八二・一%と、テレビの活用率は依然高い状況です。 また、さきの令和三年度県政アンケート調査結果によれば、インターネットに接続できる機器を「持っている」は八八・一%、インターネットに接続できる機器の保有状況については、「スマートフォン」が七一・二%、「テレビ」が五三・九%、「ノートパソコン」が四八・三%となっており、デジタル化の推進に向けて期待する取組は、「災害・事故予防と災害発生時の情報発信及び迅速な対応」が五一・七%と半分を占めている状況です。 令和元年度の一般質問で、多様化する県民への県政広報の展開について質問を行いましたが、県側からは、今後も若者から高齢者まで幅広い年代の県民の皆さんに必要な情報がしっかりと伝わるよう、情報通信技術の進展も考慮しながら、複数の媒体の組合せ、いわゆるメディアミックスによる広報を展開してまいりますと御答弁いただいております。 県では、県広報誌「県民のあゆみ」、新聞広報、県政テレビ、県ホームページなどの広報媒体に加え、県公式ツイッター、フェイスブック等のSNSなど、メディア・媒体の多様化に対応しながら、どの広報媒体がどの年代により多く活用されているかなどを調査・分析することにより効果的な広報に努めておりますが、一方で、様々なチラシやポスター、パンフレットといった大量の印刷物による広報というものもあまり変わらずに行われております。 本県は、高齢化率も高く、県民の多くがレトロデバイスであるテレビを活用している状況であり、デジタル技術に不慣れな方々についても留意していく必要がありますが、県庁が抱えている業務の効率化と県民目線で考えた場合、万が一の自然災害などのリスクにも柔軟かつ的確に対応でき、子供から高齢者など全ての方々に山形をより知っていただくツールとしてデジタル技術を大いに活用していくべきではないでしょうか。 県内の中山間地域に住んでいる方においては、新聞の朝刊が配達されない地域もあると聞いています。今後、さらなるデジタル化が進展する中で、誰もが幸せを実感できる山形県にしなければならないと感じていますが、デジタル技術を活用した広報についての考え方を総務部長にお聞きします。 次に、県土整備部長に二項目お伺いいたします。 本県の高規格道路は、南北軸として日本海沿岸道東北自動車道及び東北中央自動車道が配置されています。また、東西軸として東北横断自動車道酒田線、新庄酒田道路及び新潟山形南部連絡道路が配置されていますが、未事業区間が多くあり、ネットワーク化のめどが立っていない状況です。 新広域道路交通ビジョンによる広域的な交通の課題と取組によれば、広域的な道路の利用状況に関して、山形県発着貨物の輸送機関別輸送量を見ると、全体の九割以上が自動車による輸送となっており、路線別の特殊車両通行許可申請件数を見ると、直轄国道に比べ、ネットワーク化されていない区間の高規格道路の申請件数が少ないほか、国道四十七号や国道四十八号などの峠部においても申請件数が少なく、広域的な道路のサービス水準の低下が示唆されています。 平常時や緊急時を問わず、物・人の円滑な移動を促すため、高規格道路をはじめとする広域的な道路のネットワーク化を行い、サービスの水準確保が必要とされていますが、建設後五十年以上経過する社会資本の施設の割合が加速度的に増加するインフラの老朽化、予防保全への転換に向けた橋梁、トンネル、舗装などの点検、診断、措置、記録を着実に実施し、計画的な修繕を強力にするなど中長期的コストを縮減しなければならないなどの多くの課題が山積しています。 インフラの老朽化、予防保全への転換については、今後、ICTやAIなどの活用による点検・診断の高度化や新技術を活用した迅速な措置が進むものと思っています。 一方、県内での東西軸には多くの未事業区間がある中、働き方改革などにより、休憩・休息時間を確保するために高速道路を利用している運送業などが多いのが実態であり、道路整備による十分、二十分の時間短縮はとても重要であると思っています。 例えば、鶴岡西インターチェンジに直結する国道七号と藤島地内の国道三百四十五号とを結ぶ東西の新たな幹線道路である庄内南部中央道路は、日本海沿岸東北自動車道と新庄酒田道路による高規格道路の広域ネットワークについて、新潟方面と最上地域を短距離・短時間で結びながら鶴岡市へのアクセスを改善することになります。これにより、スムーズな交通流の展開が図られ、人や物の流れの効率化や、観光、雇用の増加などのストック効果が期待されます。 庄内地域の生活環境についても、庄内東部地域から庄内空港、鶴岡市街地北部の各工業団地、また、防災、緊急医療の拠点である鶴岡市消防本部や鶴岡市立荘内病院とを結ぶルートとして相当の時間短縮が見込まれ、利便性のみならず、安全安心の向上にも寄与するものです。 このような県内での東西軸は多くの未事業区間が残されており、高規格道路の整備率は、全国平均、東北地方平均より低い状況です。 財政面などでの課題等はあるものの、県内の物流の状況や観光資源等を見据え、速達性のある、県土の骨格となる道路ネットワークの整備が必要と考えますが、県土整備部長の考え方をお聞きしたいと思います。 今年は、年末年始からの暴風雪などにより、庄内地域を見渡すと、昨年以上の豪雪に見舞われました。特に庄内地域においては、一月中の暴風雪により幹線道路の至るところが地吹雪によって吹きだまりとなり、三川町の国道七号などの道路の通行止めが相次ぎ、通勤・通学の時間帯を直撃し、交通機関などに大きな影響を及ぼしました。また、多くの箇所で交通事故や渋滞も発生し、夕方近くに規制が解除するなど、日中や夜間を含めて大きな混乱を招いてしまいました。 県土の利用をめぐる状況と課題については、自然災害が頻発化・激甚化、そして大規模な地震の発生などの災害リスクの増大により、県民の防災に関する意識の高まりが強くなっておりますが、速やかに復旧・復興できる県土の構築に向けた県土強靱化の取組が大切であり、基本方針である「雪害防止に向けた雪に強い地域づくり」が重要です。 県では、雪崩や地吹雪などによる雪害を防止する施設の整備や除雪を考慮した道路空間の確保を図るとともに、市町村との路線交換による効果的な除雪体制の確立など、地域の特性に応じた雪対策を推進しておりますが、今年の地吹雪や積雪によって国道七号などの多くの路線が何度も遮断し、その周辺道路もスタック車両で走行できないなどの状況に陥りました。 幹線道路の除雪作業は行ったものの、短時間での地吹雪などにより車での走行に支障を及ぼすなどの自然環境がもたらす要因はあるものの、地吹雪による除雪対応や迂回路の情報提供の遅れ、防雪柵が設置されていない箇所に吹きだまりがあるなどが主な要因だと思っています。 特に、交通事故に起因しての防雪柵などの損傷は、冬場のスリップなどによる事故の場合が多いとされておりますが、損害保険会社から依頼された施行者が手続を代行し、原状回復に向けた調整・工事の遅れ、事故を起こした人が届出をしないケース、損傷状況により復旧方法を確定させることが困難な場合などもあり、地吹雪地帯においては、道路交通の安全確保に鑑み、原状回復に向けた調整・工事を円滑に進めてもらいたいと思っているところです。 道路は日常生活と経済活動に関わる基幹的な社会資本であります。特に、行政区域が入り交じっている道路などについては、インフラ整備や除雪作業などの課題が懸念されるところです。日常生活に大きな支障を来しているところを検証するなど、市町との情報交換の場が重要だと思っています。 間もなく新年度になり、人員の刷新により、昨年度までの除雪の情報がうまく伝達・共有できていないのではないかと懸念されます。今年の雪道などの課題等をしっかりと共有し、より一層の雪に強い道づくりを進めていかなければ、人命に関わる大きな問題であり、暮らしや物流機能などに大きな影響を及ぼします。 今年のような雪道の道路環境の悪化によってスタックした自動車も多く、これらの経験や怖さを知った、知り得た方々は、庄内地域には住みたくないと思っている人もいると思います。 これらを総合的に踏まえた雪に強い交通基盤の整備等について県土整備部長の考え方をお聞きしたいと思います。 次に、農林水産部長に二項目お伺いいたします。 水田農業をめぐる環境は厳しさを増しています。農業生産者の減少・高齢化、地域コミュニティーの衰退などかねてから挙げられていた構造的な大問題に加え、昨今では、地球温暖化や、それに起因すると思われる大規模な災害の度重なる発生などが農業に暗い影を落としていると言わざるを得ません。 地球温暖化に関して言えば、気候変動に関する政府間パネル・IPCC評価報告書によると、温暖化対策なしでは、二〇五〇年には二〇〇五年に比べ平均気温が約二度上昇すると予測されています。このことは、大規模な災害につながるおそれが増すことに加え、高温障害の発生などにより、現在生産に適している土地での耕作に懸念が生じるおそれがあります。 現に、令和元年、新潟県では、主力品種のコシヒカリを中心に、八月に発生した台風十号によるフェーン現象の影響を受け、高温障害による著しい品質低下に見舞われました。主要品種の一等米比率では、コシヒカリで二五・〇%と、平成二十二年産に匹敵する品質低下であります。生産者はもちろん、行政・普及・試験研究機関、JA等関係団体でも、こうした突発的と言える異常気象による影響で大打撃を受けたと聞いています。ちなみに、新品種の「新之助」は、同じく一等米比率で九八・六%と高い値を確保しております。生産者にとっては、将来的な地球温暖化を見据えて、品種開発の面でも高温耐性の高い品種の育成が望まれています。 もう一つの環境変化に国の施策の転換があります。 昨年五月、農林水産省は、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションにより実現を目指す「みどりの食料システム戦略」を策定しました。二〇五〇年までに農林水産業のCO2ゼロエミッション化、耕地面積に占める有機農業の取組面積を二五%、百万ヘクタールに拡大することなど、非常に高い目標を掲げているようです。 持続的な生産基盤の構築と、環境と調和した食料・農林水産業を維持するため取り組む必要のある方向性ではあると思いますが、生産現場では、これまで以上に手間のかかる有機農業の取組を義務づけられるようなことがあれば、価格転嫁が不透明な中で農業者が十分な所得を得られず、農業経営が一層圧迫されることへの懸念が広がっております。 加えて、水田活用の直接支払交付金の見直しの動きも報じられ、今後の生産調整の在り方が不透明さを増している中で、水田農業を担う農業者は、米価の大幅な下落もあり、これから再生産していけるのだろうかという不安の中に置かれている状況にあります。 こうした状況の中、本県では、つや姫、雪若丸といった新品種の開発とブランド化などに取り組んでおりますが、本県の水田農業の今後の展望、みどりの食料システム戦略を踏まえた有機農業へどう取り組むのか、さらには農業者の再生産に向けた意欲をどのようにかき立てていかれようとするのか、農林水産部長にお伺いいたします。 JA全中は、一月十三日に二〇二二年産米へのJAグルーブの取組方針を決定し、大規模な取組でも需給環境は十分に改善しておらず、主食用米の需給改善には二〇二一年産をベースにさらなる作付転換が必要と指摘、いろいろな対策を講じて転作の支援に努力したいと述べています。 さらに、今後の計画的な主食用米の作付転換を見据えた「水田農業の中長期的な取り組み方向」によれば、人口減少や高齢化などによる米の需給減が今後も続く場合、主食用米の減産規模は大きいと想定し、地域で将来の水田利用について話し合い、飼料用米に加え、麦や大豆などの新たな選択肢も検討・実践するとしています。 全国的にもコロナ禍の影響で主食用米の需要減少が加速する中、需給安定に向け、大豆への転換を拡大する動きが進んでいます。気象条件から麦の生産には不向きな本県にあって、こうした方向性を踏まえた大豆の作付拡大は大きな課題なのではないでしょうか。 一方、降雪により早期の刈取りが迫られる本県にあって、大豆の品種構成の問題もあります。 現在の県の奨励品種は「里のほほえみ」、優良品種は「タチユタカ」「リュウホウ」、認定品種は「エンレイ」となっていますが、このうちエンレイについては、刈取り時期、収量、品質面において次々と課題が出ている状況にあり、後継として、「えんれいのそら」の奨励品種化を願う声もあります。 こうした課題がある中、今後、水田農業を支える上で重要性を増している大豆の生産拡大に向け、県としてどのように取り組んでいくのか、農林水産部長にお伺いします。 最後に、東北公益文科大学の公立化と同大学への期待などについて伺います。 振り返りますと、おととしの九月に、この壇上から東北公益文科大学の将来の在り方について吉村知事へ質問させていただきました。これに対し知事からは、今後も少子化が一層進むことを踏まえれば、改めて大学に関わる関係者が知恵を持ち寄り、今後の在り方について検討を行う時期に来ているという考え方とともに、県としても本大学の公立化は選択肢の一つであると認識し、大学のさらなる機能強化も含め、将来の本大学のあるべき姿について総合的な検討をしっかりと前に進めていく旨の力強い御答弁をいただきました。 これは、私が知る限りでは、同大学の公立化に対して県から発信された初めての前向きなメッセージであったと記憶しています。私としては、この御答弁をいただき、公立化の方向性がしっかりと打ち出されたと受け止めましたし、その後の公立化に係る議会でのやり取りを踏まえれば、同大学の公立化の方針は定まっているものと安心しております。 お聞きするところによりますと、庄内地域二市三町との間で実務担当者間の協議を進めているとのことでありますので、公立大学への歩みは着実に前に進んでいると期待しているところです。 同大学は、平成十三年に公設民営という形で開学し、その後、苦難の道を乗り越え、学生の確保などについて、小規模な地方私立大学としては大健闘しており、これは、大学関係者をはじめとした様々な努力の積み重ねの結果と考えています。若者の定着率が低いと言われる庄内地域にとっては、同大学の存在は極めて大きく、今後十八歳人口の減少が避けられない中、ますますその役割は重要になっていくものと考えられます。 そこで、改めて、現在の本大学に対する県の評価とともに、公立化を通して新たに期待される役割や今後の展望などについてどのように考えているのか、知事にお伺いいたします。 以上で県政に関する一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(奥山誠治議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 吉村知事。
    ◎知事(吉村美栄子君) 高橋淳議員から私に東北公益文科大学の公立化と同大学への期待などについて御質問をいただきましたのでお答え申し上げます。座って失礼します。 平成十三年の東北公益文科大学設立宣言にもありますように、二十一世紀は人や心を本位とする時代であり、非営利の考えや活動、制度やシステムが大きな位置と役割を占める形に社会全体が変化しております。こうした考え方の下、本大学は、県と当時の庄内地域全十四市町村が協力して設立した大学であり、開学から二十一年の歩みの中で、庄内地域をはじめ県内各地域に有為な人材を多数輩出してきた、まさに地域の宝であると考えております。 こうした中、庄内地域は、十五歳から十九歳までの年齢層における転出超過数が県内四地域で最多となっておりまして、若者の地元定着を強力に進めていく上で重要な役割を担う本大学への注目や期待も高まっていると考えています。 さて、公立大学は、地方財政という公的資金を基盤として設置・運営される性格から、設置者である地方公共団体が求める人材育成など、各種政策をより直接的に体現する役割を担うものであり、地域の社会・経済・文化の向上発展から国際社会への貢献に至るまで、幅広い視点からの教育や研究、社会貢献活動などが求められております。 今後、全国的な少子化の進行に伴い、学生の確保について大学間の競争が激しくなることも予想されるところであります。本大学がその期待に応えていくに当たっては、地元の高校生の県内進学に対する意欲を喚起するとともに、データサイエンス人材や国際人材など、時代のニーズに応える人材の育成に向けて、機能強化の検討も進めていく必要があります。 そのため、県では、昨年度からの議論に引き続き、令和三年度は、基本的事項であります公立大学法人の設立主体の在り方、法人の組織・運営の手法や財務の仕組み、さらには機能強化の視点なども含め幅広く意見交換を行い、二市三町との認識の共有を進めてきたところであります。 今後につきましても、組織体制や財政負担の在り方などについては、将来にわたってそれぞれの自治体の運営に大きな影響を及ぼす課題でありますので、有識者を招いて理解を深めていくことなどを通して、一つ一つ丁寧な議論を積み重ねていく必要があると考えております。 県としましても、本大学がその寄せられる期待に十分に応えていけるよう、県と二市三町をはじめとする関係者との信頼関係の下、公立化と機能強化に向けた総合的な検討をしっかりと前に進めてまいります。 ○副議長(奥山誠治議員) 大瀧総務部長。 ◎総務部長(大瀧洋君) 私にデジタル技術を活用した広報の推進についてお問合せがありましたのでお答えいたします。 スマートフォンやタブレット端末などの情報通信ツールの進化に伴いまして、行政が行う広報につきましては、広報誌やテレビ、ラジオといった従来の媒体に加えまして、ツイッターやフェイスブック、LINEなどに代表されますソーシャル・ネットワーキング・サービス、SNSの導入・活用が進んでいるという状況でございます。 特に、ホームページやSNSなどのデジタル媒体につきましては、パソコンやスマートフォンなどを利用することによりまして、情報の受け手側にとっては、場所を選ばず、知りたい情報を手軽にそして素早く入手できるということから、今後も利活用が進むものというふうに考えております。一方、情報の送り手側のほうにとりましても、印刷ですとか送付などに要する時間や経費をかけずに伝えたい情報を迅速に発信することができるほか、情報の更新ですとか修正につきましても容易であると、さらには情報の拡散にも期待が持てるということから、特に防災情報など県民の安全安心に関わる情報発信には大きな役割を果たすということで、県としましては、平時・有事を問わず、デジタル技術を活用した広報は必要不可欠なものであるというふうに認識しております。 このような考えの下、一昨年の十月でございますが、県の公式ホームページを十四年ぶりに全面リニューアルいたしました。本県の魅力が伝わる発信力のある斬新なデザインということで、山形の魅力あふれる写真等々を前面にあつらえまして、一応シンプルで、かつ探しやすいコンテンツの配置にしたところでございます。こうしたことで一定の賞とかも頂いたというような評価をされているところでございますが、さらにはスマートフォン画面への表示の最適化も図ってきたところでございます。 近年、若者を中心に利用が進みますツイッターにつきましては、県が発信した情報に対しまして、共感する機能である「いいね!」の数や、様々寄せられるコメントを通しまして情報の受け手側の反応を知ることができることから、積極的に利用しているところでございまして、発信する情報等につきましても、遊び心のあるような情報、そういったものも含めて、交えながら、県政をより身近に感じてもらえるように努力しているところでございます。 また、幅広い年代で利用されているLINEにつきましても、年齢や居住地、興味・関心など、登録者情報に合った情報を提供できるツールということで利用しているところでございます。例えば、ワクチンの大規模接種等の情報につきましても、LINEに流すことによりまして、直接携帯にLINEの通知が来ますので、その場で見れば大規模接種の予約等が行われていることが分かるというところでございます。さらに、今後につきましては、動画共有サービスであるユーチューブを利用した動画広報にも力を入れたいというふうに考えているところです。 このように、デジタル技術を活用した広報を積極的に展開する一方で、従来から活用している広報誌ですとか新聞などの印刷媒体については、膨大な情報量の中から県として特にお伝えしたい情報を整理してタイミングを捉えながら県民の皆様に直接お届けできるメリットがあることですとか、デジタル技術に不慣れな方々にとりましては依然貴重な情報収集の媒体でありますので、引き続き活用してまいりたいと考えております。 いずれにしましても、日々進歩するデジタル技術に対応しながら、アナログとデジタル両媒体の持つメリットを最大限に活用して、必要な情報が必要とする方々に確実に伝わる広報にしっかりと取り組んでまいります。 ○副議長(奥山誠治議員) 渡邊健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(渡邊丈洋君) 新型コロナ感染拡大時における対応につきましてお答え申し上げます。 新型コロナへの対応として、保健所は、感染者の届出受理と整理、感染者の入院先の調整と移送、積極的疫学調査、濃厚接触者のPCR検査への誘導、自宅療養者の健康観察、県民からの電話相談対応など様々な業務を担っており、これまでも感染拡大のたびに大きな負荷がかかっておりました。特に、今般の第六波においては、オミクロン株によりこれまでにないスピードで感染が拡大しているため、保健所の業務逼迫度は相当に高くなっております。 県では、これに対応するため、マンパワーの補充を含めた体制の強化及び業務内容の見直しの両面から、保健所の機能維持を図っております。 まず、体制の強化については、専門的知識を有する保健師等の確保が重要であることから、短期的対策として、各保健所間で保健師を派遣し合うほか、県庁や市町村の保健師、保健医療大学の職員、県看護協会を通した潜在看護師など、各方面から保健師等を派遣いただいております。また、保健所が属する各総合支庁内においては、薬剤師、獣医師等の技術職のほか、他部局の事務職を含めた組織横断的な応援体制を構築し、対応可能な業務を分担しております。 さらに、中長期的な対策として、今後の新興・再興感染症対策を強化するためにも、保健師について今年度県全体で七名を増員したところであり、来年度もさらなる増員を予定しております。 次に、業務内容の見直しについては、政府の方針に基づき、積極的疫学調査の対象期間や濃厚接触者の待機期間を短縮し、業務の重点化を図るほか、患者の健康観察をリアルタイムで自動的に行う「HER-SYS(ハーシス)」というシステムの活用により業務の効率化を図っております。あわせて、地域の医師会や薬剤師会から御協力いただき、自宅療養者の健康観察や電話診療、医薬品の配達を行うなど、速やかに医療につなぐ取組も行っていただいております。 現在、政府において、蓄積したエビデンスに基づき、濃厚接触者の待機期間のさらなる短縮など、より弾力的な運用も検討されていると聞いておりますので、こうした科学的知見に基づく保健所の業務軽減を図るとともに、引き続き市町村、医師会、地域の医療機関等と協力し、新型コロナ感染拡大時の対応に万全を期してまいりたいと考えております。 ○副議長(奥山誠治議員) 高橋農林水産部長。 ◎農林水産部長(高橋雅史君) 私には二問お尋ねをいただきましたので順次お答え申し上げます。 初めに、厳しさを増す水田農業をめぐる環境への対応についてであります。 水田農業をめぐりましては、人口減少や食生活の多様化など構造的な要因が重なり、米の消費減少は今後も続くものと見込まれております。加えて、コロナ禍により業務用米の需要が急減し、三年産米の米価は全国的に下落しております。 こうした状況に加え、地球温暖化に伴う気象災害の激甚化や頻発化、さらには、みどりの食料システム戦略に基づく各種施策や、水田活用の直接支払交付金の大幅な見直しなど、政府の水田農業施策も変わろうとしています。 こうした中、本県における水田農業施策は、一つには、トップブランド米つや姫を牽引役に雪若丸、はえぬきなど県産米全体の評価向上を図る、二つには、オール山形で「生産の目安」に取り組む需要に応じた米生産、を大きな二本柱として取組を進めてまいりました。 つや姫は、有機栽培と特別栽培に限定したこだわりの米としての評価が全国的に定着し、魚沼産コシヒカリと並ぶトップブランド米としての評価が確立しつつあります。また、雪若丸につきましても、ブランド米を目指す新品種の戦国時代と言われる中、着実に生産量を増やし、識者からは、「新たなブランド米で二万トンを着実に売り切っていることは高く評価される」との御意見もいただいており、予断を許さない状況ではあるものの、つや姫、雪若丸のブランド化戦略は正しい方向性にあるものと考えております。 また、両品種とも高温に強く、温暖化傾向の中にあっても安定した品質・収量を確保しており、引き続き県の研究機関の研究機能・能力を生かしまして、高温耐性の強い品種開発に取り組んでまいります。 県といたしましては、高品質とおいしさにこだわる米作りを基本に、つや姫、雪若丸を牽引役とする県産米の評価向上に向け、農業者の皆様や関係機関と一丸となり、引き続きオール山形体制で、売れる米作りを強力かつ着実に進めてまいります。 政府のみどりの食料システム戦略につきましても、これまで本県農業者が培ってまいりました安全安心な農産物の生産や環境保全型農業と同じ方向性の施策であり、市町村と連携しながら、令和元年度に改定いたしました山形県有機農業推進計画を着実に進め、熟練有機農業者による研修の充実、消費者の理解促進に向けた情報発信、栽培品目の拡大に向けた試験研究の充実などを進めてまいります。 こうした方向性を揺らぐことなく堅持しながら、稲作経営緊急応援事業など米価下落への対応など必要な支援策をきめ細かに講じ、農業者の皆様の生産意欲の向上を図りながら、オール山形体制の下、本県水田農業の活性化に全力で取り組んでまいります。 次に、大豆の生産振興に向けた取組方向についてお答え申し上げます。 主食用米の需要が減少する中にあって、本県耕地面積の約八割を占める水田をフルに活用した農業を推進していくためには、より収益性の高い品目への作付転換を着実に進めていく必要があります。 そうした中にありまして、大豆は、一つには、食料自給率の向上に寄与するとともに国内において高い需要が見込まれる品目であること、二つには、政府において畑作物の直接支払交付金や水田活用の直接支払交付金など手厚い支援策が講じられていること、三つには、これら交付金を活用するとともに、圃場条件や栽培技術を向上させることにより品質・収量を確保した場合、主食用米以上の所得が十分期待されること、などから、本県においても、大豆の作付拡大は、農業者の所得を確保しながら水田の活用を図る上で特に有効な方策であると考えているところであります。 こうした観点から、大豆の振興に向けて、大きく二つの観点で重点的に取り組んでまいりたいと考えております。 まず第一に、本県の大豆は、九八%が水田転換畑で栽培されており、圃場の排水など、収量と品質の向上に向けた技術対策が必要となってまいります。このため、一つには、圃場への明渠の設置や透水性の悪い下層土の破砕など基本的な圃場の排水条件の改善、播種時に畝立てと肥料の散布を同時に行い生育初期の湿害を回避しながら生育量を確保する栽培体系など生産性向上に向けた営農技術の導入促進、二つには、実需者のニーズに対応しつつ、作期分散を可能とする品種の複数組合せによる作付面積の拡大、三つには、規模拡大の促進に向けた圃場の団地化や自動操舵システムを導入したトラクターなどスマート農業技術を活用した生産の効率化、四つには、コンバインや乾燥調製施設など生産性向上に必要な機械・施設の導入支援、などを、国庫補助事業等を積極的に活用しながら展開してまいります。 視点の第二は、主食用米から大豆への作付転換を図るためのインセンティブの強化であります。政府の都道府県連携型助成を活用しまして、大豆生産への新規取組や規模拡大に取り組む農業者に対し、政府の追加支援と合わせて十アール当たり一万円の支援を講じることとし、新年度予算として提案しているところであります。 こうした幅広い支援策やインセンティブの十分な活用を促し、生産振興を図るとともに、需要動向を踏まえた「えんれいのそら」などの新たな品種導入の必要性について、生産者、実需者、関係機関で構成する県産大豆利用拡大プロジェクト会議等において意見を交わしながら、県産大豆の生産振興と利用拡大について一体的に取り組んでまいります。 ○副議長(奥山誠治議員) 前内県土整備部長。 ◎県土整備部長(前内永敏君) 私には二点の質問をいただきましたので順次お答えしてまいります。 一点目の広域的な道路交通網の拡充と課題についてお答えいたします。 道路ネットワークの速達性の向上は、重要な課題の一つであると認識しております。この理由は、国土の骨格となる道路ネットワークの速達性を向上させることによって、いわゆるストック効果が発現するからであります。 ストック効果といいますのは、例えば、速達性が向上して物流の効率が上がる効果ですとか、物流の効率が上がってインターチェンジ付近への企業の進出が進む効果ですとか、企業が進出して雇用が創出される効果などであります。本県におきましても、これまで開通した区間において、こうした効果が現れております。また、これ以外にも、議員御指摘の医療面などでも速達性によるストック効果が発現するわけであります。 次に、県土の骨格となる道路を含めた県内の道路交通網の全体の構成と整備の考え方について説明いたします。 県内には、日本海沿岸東北自動車道及び東北中央自動車道のような南北のいわゆる縦軸と、東北横断自動車道酒田線、新庄酒田道路、石巻新庄道路及び新潟山形南部連絡道路のような東西のいわゆる横軸があります。これらは、サービス速度がおおむね時速六十キロメートル以上のいわゆる高規格道路として、国土交通省が計画の立案や整備を進めていきます。 県では、直轄事業負担金として応分の負担をするとともに、道路用地の先行取得を行うなど、早期全線開通に向けて積極的に協力をしております。 また、これらの高規格道路を補完し広域的なネットワークを形成する国道七号や国道十三号、国道二百八十七号など、これは例示でありますけれども、サービス速度がおおむね時速四十キロメートル以上のいわゆる一般広域道路として、国土交通省や県が、現道の特に課題の大きい区間においてバイパスの整備や部分的な改良などを進めております。 さらには、主要地方道など市町村の間の通過交通を主に担う道路や、地域住民の日常生活の交通を主に担う道路などにもそれぞれ課題がありますので、これらの課題解決にも取組んでまいります。 あわせて、過去に整備した橋梁などの急速に進む老朽化対策など、喫緊の課題にも対応する必要があります。これらの対応のためには全て財源が必要でありますので、県としましては、政府の国土強靱化予算などの財源を確保するよう、引き続き機会を捉えて政府などに要望してまいります。 二点目の雪に強い交通基盤の整備と雪道の安全対策についてお答えいたします。 初めに、庄内地方の地吹雪の特性と地吹雪が発生したときにおける道路交通を確保するための対応、工夫について説明いたします。 地吹雪が継続的に発生しますと、防雪柵を設置できない例えば交差点などに吹きだまりがスポット的に、なおかつ短時間で発生します。このような現象が広い範囲で、なおかつ同時多発的に発生して、これらのうちの一か所でも車がスタックしてしまうと、これが交通の遮断につながっていくということであります。しかし、現有の、県で現在保有している使える除雪機械をフルに稼働させたとしても、県が管理する路線の全ての吹きだまりの処理を継続的に行っていくのは極めて困難であります。 このため、令和四年一月十八日に、庄内地方の大動脈である日本海沿岸東北自動車道と国道七号が同時に通行止めになった際には、車での移動が必要な方のために、道路ネットワーク上のいずれかのルートで目的地にたどり着けるよう、国道七号に並行する県道などが迂回路として使えるように、これらの路線に除雪機械を集中投入して交通を確保しようと試みたところであります。 次に、議員御質問の三点について順次お答えいたします。 まず一つ目の地吹雪時の情報発信についてお答えします。 地吹雪による吹きだまりは、除雪をした後に短時間で再度発生する場合などもあることから、安全に通行できる路線を事前に案内するというのは非常に困難であります。したがって、吹きだまりによって既に通行止めとなった路線の情報を提供することで、道路利用者が現時点で通行可能なほかの路線を確認できるようにしております。これらの情報については、日本道路交通情報センターのホームページなどで発信しております。 二つ目の吹きだまりの発生を防止する防雪柵の修繕についてお答えいたします。 現在、県では、庄内地方を中心に約二百三十キロメートルの防雪柵を設置しており、その三割ほどが老朽化しております。老朽化した防雪柵は、お尋ねの交通事故で損傷したものも含めて、強風下での冬期間の修繕は困難なため、計画的に修繕を行ってまいります。 三つ目の除雪に関する情報共有について、二つの観点からお答えいたします。一点目は行政機関の間での情報共有、二点目は住民と行政機関との間での情報共有です。 一点目の行政機関の間での情報共有では、毎年度の除雪シーズンに入る前に、緊急時の連絡体制などの除雪に必要な情報を共有する仕組みをつくっております。 二点目の住民と行政機関との間では、住民の方より電話などをいただくことなどで情報共有を行っております。例えば、日常の道路パトロールが終わった後で、道路脇に高く積もった雪の壁が車道側に倒れて通行できないというような、行政機関では拾い切れない情報を除雪作業へ直ちに反映させております。 県としましては、大雪などの自然環境の変化、住民ニーズなどの社会環境の変化に応じて、引き続き雪道の安全向上に努めてまいります。 ○副議長(奥山誠治議員) この場合、休憩いたします。 午後一時再開いたします。     午後零時十八分 休憩     午後一時零分 開議 ○議長(坂本貴美雄議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 十七番五十嵐智洋議員。 ◆17番(五十嵐智洋議員) 冒頭、プーチン大統領、ロシア政府に強く抗議いたします。 ロシア軍のウクライナ侵攻は全土に広がり、ミサイルの切っ先は市民にも向けられています。家族とともに防空ごうでおびえるまだ四歳か五歳の女の子が、寒さと恐怖に震え、大粒の涙をぽろぽろと流し「死にたくない」と声を振り絞る姿が世界中に報道されました。同じ年頃の孫を持つ者として、胸が締めつけられる思いです。自由主義陣営全ての国がロシアに対しあらゆる手段で世界平和を土足で踏みにじる蛮行を止めなくてはなりません。 中国は、ウクライナ侵攻に、戦争に理解を示しています。国際社会がロシアを制止できなければ、中国に誤ったメッセージを伝え、増長させ、台湾や日本固有の領土である尖閣諸島などで一方的な現状変更を試みる可能性がある。これは、遠い将来ではなく、差し迫った脅威と考えなくてはなりません。 日本政府は、ロシアに経済断交も含めた強い制裁を行い、明確な抗議の意思を突きつけるべきです。ロシア、中国、北朝鮮、ベラルーシ、これら独裁国家互助会にいいように暗躍されては、防空ごうで震え、「死にたくない」とおえつする子供は、ウクライナだけでなく、明日の台湾や西側諸国、日本の子供かもしれません。二十一世紀安全保障上最大の危機が、対岸の火事ではなく、火の粉が我が国にも迫っているのです。 ロシアが一方的に仕掛けた戦争で教訓としなければならないことは、安全な生活がただで、誰かの助けで手に入るものではなく、日本の平和を守る主体は日本政府であり、国民の心構えであることです。自衛隊は憲法違反と多くの憲法学者は言いますが、「あなた方はウクライナの惨状をどう認識しますか。独裁者に丸腰で、悔い改めよ、平和を守りなさいとお説きになりますか」と問いたい。国会で真剣な憲法論議が行われることを望みます。 さて、十二月、大瀧総務部長は長井市新庁舎を視察し、内谷市長、幹部職員と意見交換をされました。長井市を参考に職員の働き方改革の一助にと提案した私の質問にお応えいただいたものと思います。一月、小林みらい企画創造部長は、仁科小国町長とリモートで意見交換されました。町長は、小国町の実情を県幹部に直接伝えられることに大変期待しておられました。両部長とも、地方を大切にする信念の表れと感謝いたします。 平山副知事は、職員はパソコンを離れ県民の生の声を聞くのが重要とおっしゃいましたので、幹部、中堅職員はどんどん外に出ていただきたいと期待し、質問に移ります。 女性の正社員化について。 吉村知事は二月七日、全国知事会で女性の正社員化を提言しました。大変すばらしいことと思います。また、令和四年度県政運営の基本的考え方の第一に「子育てするなら山形県」の実現を掲げ、開会日知事説明では、「県民の皆様から県内で暮らすことの幸せを実感してもらえるよう、安心して働き……」と述べられました。安心して働くには、女性の正社員化を進め、安定した雇用環境に転換し、賃金を上げる必要があります。五つの柱に県民所得向上も掲げられていますから、女性の正社員化は知事の大きな政治公約と受け止めます。 山形県は女性の非正規雇用が多く、県内女性の所定内給与が全国最低クラス、県外流出に歯止めがかからない最大の要因と何度も警鐘を鳴らしてまいりました。 女性非正規雇用が圧倒的に多い職場を二つ挙げます。 山形県社会福祉事業団、以下事業団と言います。現在の理事長、常務理事ともに県退職職員です。令和三年六月一日現在の職員数千百三十一人、うち非正規雇用者は五百八十九人。男百七十人、女四百十九人。全体の五二%、女性の五七%以上が非正規雇用です。勤務する女性にお話を伺いましたが、「十五年も非正規で、同じ仕事をしても低賃金、周りも同様」「慢性的に人手不足だが、非正規募集ではなかなか補充されず、絶えず忙しい」など話しておられました。 事業団は、高齢者福祉、障がい者福祉等弱者に寄り添う重要な職場であり、知識、技能、責任を伴う大変な仕事を、正職員も、非正規職員も日々懸命になさっています。しかし、非正規雇用の女性が五七%を超える現状で、この方たちが安心して働く「子育てするなら山形県」などと実感が持てるでしょうか。福祉のビネスモデルとして非正規雇用が半分を超える事業所がこれからも通用するのかも疑問であります。 次に、山形県社会福祉協議会、以下県社協と言います。ここは、役員も含んだ職員数が四十八人。事業団より所帯の小さい職場ですが、女性二十八人のうち二十一人が非正規職員。女性に占める非正規の割合は七五%です。正職員は僅か四分の一です。 県社協の会長は、令和二年度まで非常勤、年俸百二十万円でしたが、令和三年四月から常勤の会長として県職員退職者が就任し、年俸を事業主負担含み約六百万円としたい旨、評議員会に諮られました。評議員の一人である私は、非常勤で長く間に合っていたのに五倍もの報酬にする必要があるのか。各地の社会福祉協議会会長はほぼ非常勤。本当に少ない予算をやりくりし、市町村では民生・児童委員が僅かな手当で、ボランティア精神で地域のために奮闘している。赤い羽根共同募金、子ども食堂への食材寄附など、住民の善意、共助の精神で成り立っている。県社協に余裕があるなら非正規職員の待遇改善に充てるべきでないかと申し上げました。県議会、県社協評議員の多くの方からそのとおりとの御賛同をいただきました。 現在、県社協には、前会長がまだ顧問として残り、会長、専務理事、事務局次長以下六人もの県職員退職者が役職員として在籍しています。常勤会長以下六人の役職員と二十一人の女性パート職員の人件費をてんびんにかけると、役職員側、県退職職員側に大きく傾くのではないでしょうか。 新年度予算では、女性の正社員化を図るため、非正規労働者を正社員に転換した中小企業、社会福祉法人に対し一人十万円、三百人分三千万円を計上しました。 令和三年度の賃金向上推進事業支援金正社員化コースでは、四十歳未満の女性非正規労働者を正社員に転換する事業者に、一人十万円、同じく三百人三千万円支給する施策を現在進行形で行っています。事業の効果はどうか。二月十八日現在の実績は七十七人にとどまり、執行率は僅か二五・七%。不用額が七割を超える嘆かわしい数字になっています。 四年度は、対象を五十歳未満に引き上げたほか、内容はあまり変わっていません。知事肝煎りの全国知事会で訴えた女性の正社員化にかける情熱や、何が何でもやり遂げる気迫はあまり伝わってこないと断言せざるを得ません。 正社員化は、年間一人数十万円から百万円程度の人件費増と見積もられます。民間企業には大変大きな額、数字ですから、「十万円支給します」「はいそうですか」とは簡単にはなりません。制度設計も含め、早急に見直しすべきではないでしょうか。 先ほど述べた事業団も正社員化を真剣に考えています。少しでも正社員を増やし、よりよいサービスに努めたいと切望しています。ぜひこのような現場に直接足を運び、真剣に女性の正社員化に向けた取組を推進すべきです。 産業労働部だけでは荷が重いことは実績が物語っていることから、商工労働分野で民間の声をお聴きになってこられた副知事が知事最大公約実現の先頭に立つべきですが、御見解はいかがかお尋ねいたします。 県職員の定年引上げについて伺います。 国家公務員、地方公務員の定年を段階的に引き上げ、二〇三一年度に六十五歳に引き上げる改正法が二〇二三年施行されます。民間は既に、二〇二五年四月から定年制を設けている全ての企業に六十五歳定年が義務づけられます。生産年齢人口減少、人生百年の我が国において、六十歳を過ぎても社会で現役で働くことは、人材活用の点で、定年引上げは公務員も当たり前のことですが、大改正であり、県の活力が増すようしっかり検討、準備することが求められます。 ここ数年、県税収入は一千百億円強、人件費は一千五百億円程度。県税収入は人件費の約七三%程度にすぎません。二三年度から目前に迫っている定年引上げが人件費にどのように影響するか、私なりに計算してみました。 改正法では、人事院の考えに基づき、役職定年で降任、降給--給料が下がることです--を伴う場合の給与は異動前の七割水準の月額となるとありますが、この七割水準の年間人件費は一人幾らか。事業主負担も含め、平均六百三十万円程度です。今後一年に何人六十歳到達者がいるか。年度ごとに違いますが、知事部局平均百人とすれば、内輪で間違いないと思います。 現在は、希望すれば六十五歳まで再任用として勤務可能ですが、再任用者の人件費は五割水準で、年間四百五十万円程度です。定年引上げになれば年間六百三十万円、再任用は四百五十万円、差引き、差額は一人百八十万円となります。極めて単純に、百人の再任用が百人の定年引上げに転換された場合、差額の百八十万円掛ける百人は一億八千万円となり、令和六年度から知事部局で年間一億八千万円人件費が増加することになります。ただし、再任用はあくまで希望で、直近のデータでは、再任用は退職者の三分の一程度が実情です。毎年四十名ほどです。定年引上げは希望ではなく、法改正ですから、個人の事情で早期退職、時短勤務を選択する方がいらっしゃるとしても、六十五歳までフルタイムで勤務する人が圧倒的と考えられますから、人件費は相当増えると見積もる必要があります。 同じように、再任用と定年引上げ制度の違いから、新規採用を抑制しない場合、職員数は令和六年度から増え、二年ごとに累積し、職員数は増えます。 私は、財政状況とのバランスも考慮しながら、定年引上げをよい機会と肯定的に捉え、県民生活向上、知事部局職員の働き方改革に資すべく、各方面の意見を聴き、取り組むべきとの考えから、以下提言を申し上げます。 知事部局各部署で長年知識、経験を蓄え、県民、議会等と向き合ってこられたベテラン職員は、さらなる活躍が期待されます。 一つには、新規採用者、県職員採用三年以内程度の若い職員に対する教育、サポートが挙げられます。関連する法律、条例など公務員としての知識習得、職場内での報・連・相、コミュニケーション能力向上、対外的な交渉など、異動しても即戦力となれる勉強することは数多くあります。多忙な毎日で悩みを抱える若手も多いことから、定期的な面接を行い、精神面、業務両面を支援し、一人も取り残さない環境をつくること。 二つ目、働き方改革で最も重要な長時間勤務を是正し、直近では年間平均十七億円にもなる時間外手当を限りなくゼロに近づけること。管理職の意識改革も含め、役割分担をしながら、職員メンタルヘルスに気を配り、休日出勤などないようにしなくてはなりません。 三つ目、県民の要望が多い喫緊の課題、持続可能な社会づくりに取り組み、これまで以上に深掘りを図ること。有害鳥獣問題、基幹産業である建設業界の人手不足、脱炭素など、たくさん挑戦しがいのあるテーマがあります。 定年引上げは目前に迫っています。公社、団体等への再就職年齢を前倒しするなども検討し、新規採用者を減らさず、前向きな改正になることを期待し、現時点での考え方について総務部長の答弁を求めます。 三番目、会計年度任用職員の処遇改善について伺います。 総務省は、勤務時間をフルタイムより十五分短くしたパートタイム会計年度任用職員が全体の四〇%の自治体で見られると公表しました。一日の勤務時間が七時間四十五分などのフルタイムの場合は、退職手当の支給なども可能になりましたが、パートタイムは対象ではありません。十五分短縮の理由の複数回答では、「業務内容に応じて勤務時間を積み上げた結果によるもの」六八・五%、「職務内容に関するシフトや勤務体制、繁忙時間帯を考慮したもの」三九・三%などでした。 総務省は、一般的に理解の得られる合理的な理由がなければ見直しの検討が必要と全国の自治体に通知を出しました。財政上の理由からパートにしているのであれば適切でない。実態を把握し、フルタイムを含めた任用も検討が必要とのコメントもあります。要するに、十五分短縮して退職手当などを受け取る権利を奪うな、総体的に収入を上げなさいと私は解釈しました。日本経済浮揚のため、国を挙げて、経済界も呼応して賃上げを行うのは当然のことで、自治体も例外ではありません。週刊誌的な表現をすれば、「十五分短縮でパートなど、自治体よ、せこいことをするな」と国が言っています。 では、県知事部局会計年度任用職員はどうか。令和四年一月時点で会計年度任用職員は計千百四十一人、うちパート職員千八十九人。率にして九五%がパートタイムです。このたび総務省が問題とした十五分短縮パート、一日七時間三十分勤務はありませんと人事課からお聞きし、パートタイムで一番長い勤務時間は一日六時間程度、週三十一時間四十五分との説明を受けました。フルタイムは週三十八時間四十五分ですから七時間短く、時間換算すれば週四日程度の勤務。千八十九人の会計年度任用職員がこのような働き方をしていることになります。 会計年度任用職員制度により、複数年の契約、短時間勤務でも期末手当が支給され、賃金アップは進みました。しかし、民間では、臨時でも五年以上雇用契約が繰り返されればそれ以降無期限雇用にしなければならない法律がありますが、公務員にそれはありません。いつ雇用契約が打ち切られるか、不安定な身分に変わりはないわけです。賃金は上がったとはいえ、最高で年収二百六十万円程度と説明を受けました。働く人の事情はそれぞれで、配偶者扶養の範囲内、時短勤務を希望する方もたくさんいらっしゃることは事実ですが、不本意ながらパート職、もっと長く働きたい方も大勢と考えられます。 私は、知事部局の臨時職員育児休業問題を以前から取り上げ、批判してきました。総務省は平成二十三年から臨時公務員にも育児休業制度が適用になったと山形県に通知しましたが、六年間も実施せず遅れました。十か月雇用で該当しないと、昭和の古い雇用形態を長い間改めなかったからです。十か月雇用時代もパートの上限は週三十一時間四十五分でしたから、期末手当がないことから計算すると、最高でもパートの年収は百七十万円程度だったと推測されます。低賃金、若者県外流出、結婚をためらうなどの要因になったことは明らかであり、深く反省すべきと思います。 総務省の時間短縮パート問題で分かったことは、全国四割の自治体で一日七時間三十分勤務があることです。これから推測されることは、六時間三十分、七時間を超える勤務の会計年度任用職員が全国には大勢存在するのではないか。知事部局の六時間程度、週三十一時間四十五分は、全国で最短時間の部類に属するのではないでしょうか。 人事課から、知事部局パートタイムの仕事、契約内容などの正当性、妥当性についてじゅんじゅんと丁寧に説明を受けました。しかし、他自治体パート時間と比較し、また、重点目標である県民所得向上、子育てするなら山形県を実現するため、パートタイムの年収で豊かな未来を感じられますかと問いたい。一日六時間程度の勤務全てに総務省通知の一般的に理解が得られる合理性がありますか。 会計年度任用職員の勤務時間延長も含め、総務省出身の大瀧部長の見解を求めます。 県産米の消費拡大について伺います。 昨年は、コロナ禍の外食産業の落ち込み、全国的な米の豊作で市場価格が下落しました。本県では、つや姫は価格面で持ちこたえたものの、主力品種はえぬきは値を下げました。昨年当初から米余剰は予測され、飼料用米への転換など農家の収入減対策が講じられましたが、来年度もコロナ感染症との闘いは続き、米需要の回復は厳しいものがあります。 本県では、県産農産物の海外輸出増を推進していますが、これもコロナの影響で壁に当たっているのが実情です。二〇二〇年度県産農産物輸出量は千三百十九トン、前年度千六百五十トンの二割減となりました。輸出額推計では、高額な牛肉が増えたことで前年度とほぼ同様の八億千八百万円となっています。 一昨年、JA山形中央会と農林水産常任委員会の意見交換会があり、私も会議の席で県産農産物の消費拡大について日頃の考えを述べました。内容は、私の推計になりますが、県内の病院、高齢者施設、老人福祉施設、障がい者施設、公私立学校、社員食堂、食堂、ビジネスホテルなども含めた給食材料費の総額は年間約三百五十億円になります。これには旅館やかっぽう、料亭などは含まれていません。この三百五十億円の三%分、県産農水産物使用を増やせば十億円を超え、山形県年間輸出額を上回る。足元に宝の山があるのだから、ここに着目し、JA、県、関係者が協議し進めるべきと申し上げました。当時の長澤会長からは、「五十嵐議員の発想は面白い。ぜひ参考にして取り組みたい」とおっしゃっていただきました。三百五十億円の根拠は、県民延べ一億食、一食当たりの食材原価平均約三百五十円と見積もったものです。 県内のある町で高齢者福祉施設、障がい者入所施設、デイサービス等を経営する社会福祉法人が自前の給食調理をやめ、県外資本の給食運営会社にそっくり外部委託することになりました。法人の年間給食総数は約二十七万食。年間八千万円を超える食材の多くを町内複数の業者からなるべく地元の食材を仕入れ、利用者に季節感のある食事を提供していました。三百六十五日、三食給食を調理する人手を確保することが難しくなり、やむなく外部委託したわけですが、給食材料全てが給食運営会社の調達ルートから納入されることになりました。八千万円の地元食材仕入れが消え、それまで御飯は県内のはえぬきだったものが、安い違う米に変わりました。はえぬきは、地元の米屋さんから十キロ三千円ほどで年間約二万キロ仕入れていましたが、金額にして六百万円もの納入がゼロになったわけです。何ともったいない話ではありませんか。 地元食材で喜ばれる食事を提供しても介護報酬に加算されないなどの理由で自前の給食をやめ、この法人のように外部委託に切り替える例は年々増えています。小規模な施設では、食材卸業者から全部冷凍食品の弁当を仕入れ、温めて出すところも珍しくはありません。当然、米ははえぬきや雪若丸ではありません。 このように、給食調理を外部委託する、冷凍食品に置き換えるとなれば、それまで食べていた県産米は別の産地の低価格のものに変わります。少しでもコスト削減を図るため、米は最も早くターゲットにされます。前述した社会福祉法人のような例は、県内どこの市町村にも、何百か所もあると思われます。県立病院や公立学校給食は県産米を提供していますが、専門の給食業者が入っている病院、高齢者施設、福祉施設、企業の食堂などはどうでしょうか。 十年前、二十年前と比較すれば、大量の米が県産米から別の米に、少しでも安い米に置き換わっています。ここに着目し、給食会社に差額の何割かを国・県で補填し、県産米を使ってもらうなどの施策を講じるべきです。海外と輸出交渉をするよりずっとやりやすい、足元ですから。 令和四年産米「生産の目安」では、三年産米と比較し、県合計で一万六千二百トン減、作付面積換算で二千七百九ヘクタール減となっています。後ろ向きの、農家に希望のない策であります。 県内三百五十億円の給食、関連市場のうち、米は八%強、推計三十億円程度と見積もられますが、半分以上が山形県産以外の米ではないかと考えています。私が泊まるビジネスホテルは全国チェーンで、米は外食用の県外ブレンド米です。 このように、県外米が多量に使われているのが現実であり、県産米消費拡大のため、稲作農家を守るため、県内の給食施設や米を大量に使用する外食産業などに県産米回帰、県産米使用を働きかけるべきと提案しますが農林水産部長の見解はどうか、答弁を求めます。 公立学校校長の女性登用について。 昨年のNHK紅白歌合戦、残念ながら本県出身の歌手林部智史さんは選ばれませんでした。彼の泣かせる歌声は心の琴線に触れ、コンサートチケットはすぐに完売します。林部智史氏が毎年選ばれないのは、村上春樹さんがノーベル文学賞を取れない不思議と同じく、紅白の七不思議、NHKの陰謀とさえ思います。林部智史氏の出ない紅白は見ないで早く寝ることにしています。 お正月のテレビ欄で、暮れの紅白は例年と大きく変わった。紅(あか)勝て白勝ての応援合戦が影を潜め、紅組白組の区別も曖昧。今年から紅白--赤白の表記はなくなるのではとの論評がありました。ジェンダー平等に配慮し、赤は女性、白は男性と決めつけは世論に逆行するとの考えからくるものです。映画界で主演男優賞、女優賞と男女を分けるのも疑問視されています。 ジェンダー平等とは、一人一人の人間が性別にかかわらず平等に責任、権利、機会を分かち合い、あらゆる物事を一緒に決める真の男女平等のことですが、日本は、世界百五十六か国のうち、ジェンダーギャップ指数百二十位、先進国最下位であります。 山形県の教育界はどうか調べたところ、県内小学校の女性校長比率は一四・五%、全国平均二三・四%にはるかに及びません。中学校は五・四%、これも全国平均以下。山形県の義務教育校では女性校長がかなり少ないことが分かります。この数字から、小・中学校で女性校長に出会えなかった児童生徒が圧倒的多数ではないかと推察できます。 男女平等、共同参画の重要性は、男女とも小さいうちから体現する必要があります。子供たちにとって、先生は最も身近な家族以外の大人であり、学校は模範とする社会であることから、様々な、また主要なポストで女性が活躍する姿を実際に目にすることが重要です。 独立行政法人国立女性教育会館の学習イベントで、女性校長が少ないのはなぜかと小・中学生に聞き考えを付箋に書かせたところ、「男のほうが強いから」「男のほうがリーダーっぽくて何となくよい」「男のほうが偉いから」「ちゃんと責任が取れるのは男のほうが多いから」「女の人は校長先生をやりたい人が少ない」「女の人は家のことで精いっぱい」「女性より男性のほうが偉いと思われている」「日本は男尊女卑だから」などの回答がありました。子供の感性はこのように鋭いことが分かります。 独立行政法人国立女性教育会館が管理職以外の教員に行ったアンケートで、あなたは将来管理職になりたいですかの問いへの答えで、「ぜひなりたい」が一%、僅か一%です。「できればなりたい」六%、計七%の低さでした。一方、「あまりなりたくない」五一・二%、「絶対になりたくない」四一・八%、計九三%と圧倒的に嫌われました。複数回答のなりたくない理由では、担任を持って子供と接したい、自分に力量がない、現在の仕事に満足などが上位になり、また、労働時間が長い、責任が重くなると育児や介護等家庭との両立が難しい、などが挙げられています。 では、公立小・中学校の校長になった女性へのアンケートではどうか。仕事にやりがいを感じるかには、「あてはまる」「どちらかというとあてはまる」と肯定的な答えが九八・九%にもなり、校長の仕事に満足しているとの答えが九七%と大変高率であったとの結果があり、実際に校長を経験すると達成感のある違った世界が見えることになります。これらも重要な情報として伝え、女性教員も若いうちからぜひ管理職を志向していただきたいと思います。 小・中学校に女性校長が少ないことに危機感を持ち、教育委員会も意識改革に努め、意欲ある女性教員の登用を進めることが山形県男女平等の象徴になると考えます。早急な環境づくりが必要ですが、教育長の見解を求めます。 雪を生かした観光誘客についてお尋ねします。 冬季五輪、スノーボード男子ハーフパイプで平野歩夢選手が金メダルを獲得しました。過去二回のオリンピックは僅かな差で銀メダル、金に届かなかった平野選手ですが、三度目の挑戦で彼しかできないトリプルコーク一四四〇(フォーティーンフォーティー)、斜め縦軸に三回、横に一回、計四回、三百六十度回転する神業を完璧に決め、文句なく頂点に立ち、日本中に勇気と感動を与えてくれました。 平野歩夢選手は新潟県村上市出身。幼少期からスケートボード、スノーボードに親しみ、小国町横根スキー場に日本で初めて整備されたスノーボードハーフパイプコースへ冬期間毎日のように村上から通い、練習しました。同スキー場のハーフパイプコース責任者高橋恒行さんは、四歳から練習する平野選手を見守り、高橋さんのハーフパイプ場整備にかける情熱、平野選手との触れ合いは以前も報道されています。 横根スキー場は、平野歩夢選手五輪金メダルの夢を育んだ聖地であり、日本初のスノーボードハーフパイプ場として、高橋さんや町の関係者がひたすら、ひたむきに情熱を傾け、日本のスノーボードハーフパイプ競技を世界のトップクラスに引き上げた功績と先見の明は偉大だと、山形県民が誇れるものです。その後、各地のスキー場にハーフパイプコースが整備され、交通の便がよく、宿泊施設、観光施設が完備され、PR力のある施設が増えています。 このような中、平野選手の金メダルで小国町横根スキー場は再び話題となり、国内だけではなく、海外からの注目度も増していると思います。このチャンスを逃すことなく、小国町と協力して、日本スノーボードハーフパイプコースの草分け、平野選手誕生の聖地としてしっかりPRを行い、観光客が国内外から訪れるようにすべきと考えます。 また、本県には、スノーボードのほかにも、スキーをはじめとしたスポーツを楽しめるスポットが数多くあります。雪を貴重な観光資源と捉え、さらなる観光誘客につなげていただきたいと考えますが、観光文化スポーツ部長の見解を伺います。 熱心に耳を傾けてくださいましたことにお礼を申し上げ、終わります。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 平山副知事。 ◎副知事(平山雅之君) 女性の正社員化についてお答えいたします。 持続可能で活力ある山形の実現のためには、地域社会や県内事業所において女性も能力を十分に発揮し、生き生きと暮らし、働き続けられる環境づくりを進めていくことが大変重要であります。 しかしながら、本県は、夫婦の共働き率や育児をしながら働く女性の割合が高いものの、女性労働者の賃金が全国的にも低く、男性と比べ非正規雇用の割合が高いといった現状にあり、女性活躍を促進するためには、女性労働者の賃金アップや、正規雇用を望みながらも非正規で働いている女性の正社員化を拡大していく必要があると考えております。 このため、今年度から、それまでの政府の助成金に上乗せ支給する奨励金制度の要件を緩和して、より使いやすくした県独自の賃金向上推進事業支援金を創設し、四十歳未満の若年女性非正規雇用労働者の正社員化を図っており、さらに令和四年度からは、社会福祉法人を含む県内複数事業者の声を反映させていただき、非正規率が高い五十歳未満まで対象年齢を引き上げ、事業所の対象も拡充し、女性非正規雇用労働者の多い業種であります製造業、卸・小売業、宿泊業、飲食サービス業、そして今回対象を拡充した社会福祉法人をターゲットとして、より丁寧な制度の説明や周知と併せましてこの支援金の活用を図り、女性の正社員化及び賃金向上を推進してまいりたいと考えております。 また、女性の正社員化の拡大には、経営者の意識改革や女性が活躍できる場の創出といった観点も大変重要な要素であります。 まず、経営者の意識改革としましては、啓発セミナーの開催や、社会保険労務士である職場環境改善アドバイザーによる助言・指導を行うとともに、積極的に取り組んでいる事業所を優良モデル企業としてホームページ等で広く紹介してまいりたいと思っております。 さらに、女性が活躍できる場の創出としましては、求職者や在職者のデジタルスキルの向上のための講座の開設のほか、女性新規就業支援事業により、女性の雇用に意欲ある企業の掘り起こし、その企業の雇用環境の改善指導、就業のためのマッチングなどによりまして、女性の正社員化を支援してまいります。 こうした取組を総合的に展開することによりまして、女性が正社員として本県において生きがいを持って安心して働き続けることにより、女性の力が本県産業の価値や生産性を高め続けているような好循環を創出してまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 大瀧総務部長。 ◎総務部長(大瀧洋君) お答えいたします。 まず、県職員の定年引上げについてでございます。 少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少するという局面におきまして、優秀な人材を確保するとともに、複雑高度化する行政課題に的確に対応して質の高い行政サービスを維持するためには、高齢職員の能力や経験を活用していくことが不可欠であります。このため、今般、国家公務員法及び地方公務員法が改正され、令和五年度から公務員の定年が段階的に引き上げられることとなりました。行政経験豊富な高齢職員を引き続き有為な人材として活用し、また、若い職員にその知識、技術、経験を継承していくことは、非常に有用であり、さらに高齢職員の雇用と年金の接続が確実に図られるという点でも、定年引上げは大きな意義があるものというふうに考えております。 一方で、定年の引上げに当たりましては、様々な検討課題があると認識しております。 まず、職員数につきましては、地方公務員法の規定により、制度完成までの間、定年退職者が生じる年が二年に一度となりますので、新規採用者数につきまして、これによってばらつきが生じてもというところもございますので、ある程度平準化していくことも考えていく必要がありますが、簡素で効率的な組織を維持するとともに、総人件費を抑制するという観点も必要でございます。職員数を大きく増やすことは困難な状況にあるところでございます。そのため、職員の新規採用の在り方ですとか制度完成までの間の定数条例の上限の取扱いにつきまして検討する必要があるところです。 また、地方公務員法の改正によりまして、定年の引上げに伴う役職定年制が新たに導入されることとなりますけれども、この制度下では、管理職につきましては、六十歳を超えると非管理職に降任する。その結果、六十歳を超えました元管理職と六十歳以下の職員とが同じ職位で働くということも想定されるところでございます。また、これにつきましては、六十歳の非管理職につきましては、こちらはそういった降任の対象ではございませんので、そうしたように様々な職位が生じる可能性もある--職位は一緒ですが、様々な年齢の方が生じるという可能性はございます。 高齢職員につきましては、培った経験や能力を組織に還元していただくために、技術の伝承ですとか若手職員の育成に従事してもらうとともに、重要な戦力として定数一人分の仕事を担っていただく必要があるという一方で、体力的な問題ですとか家族の介護といったように、年齢的にそういった家庭環境等の変化といったことも考えられるところでございます。このため、高齢職員にモチベーションを維持しながら生き生きと働いてもらうため、どのような業務や役割を担ってもらうのがふさわしいのか、多様な働き方も含めて現在検討を進めております。 ただいま申し上げました様々な課題につきましては、知事部局以下ほかの任命権者同士も一緒に、合同で勉強会を開催するなど検討を進めているところですが、政府の検討会の動向ですとか他県の状況、そして本県人事委員会の意見等も踏まえながら、よりよい制度となるように鋭意検討を進めてまいります。 二点目、会計年度任用職員の処遇改善でございます。 多様化する行政需要に的確に対応して、公務の能率的かつ適正な運営を維持することを目的に、非常勤職員の新たな任用制度として、会計年度任用職員制度が令和二年度に創設され、現在、知事部局においては、約千百名の会計年度任用職員を配置しております。 複雑高度化する行政課題に適時的確に対応していく必要がある中にあっても、県の組織については、不断の見直しを通した簡素で効率的な事務処理体制が求められております。こうした社会的な要請の下、限られた人員体制の中で、定型的な業務や常勤職員の補助的な業務を会計年度任用職員に担っていただくことによりまして、常勤職員は、喫緊かつ重要な課題はもとより、より高度かつ専門的な業務に傾注することができており、会計年度任用職員は行政サービスの維持に欠かせない存在となっております。 また、会計年度任用職員は、フルタイムではなかなか働くことが困難である子育て中の女性ですとか高齢者、また障がいを持つ方などの貴重な雇用の受皿となっているという側面も持ち合わせているところでございます。 本県の会計年度任用職員の勤務時間につきましては、総務省で定めたルールに従いまして、あくまでも業務量を基本として設定しておりまして、週三十一時間四十五分勤務の非常勤嘱託職員ということで、制度改正前からの非常勤嘱託職員からの移行組が大宗を占めているという結果といたしまして、全体の九割以上がパートタイム職員となっておりまして、これは東北の他県も同様であります。 なお、本県のパートタイム職員につきましては、週三十一時間四十五分勤務が基本となっておりますけれども、東北他県でこの三十一時間四十五分を上回っている県というのは一県のみ、秋田県のみとなっております。 業務量に見合わない勤務時間を設定するということは、これは県民の理解が得られにくいというふうに考えられますが、一方で、給与面につきましては、制度導入時に報酬を引き下げた県もあった中で、本県では、報酬の水準を引き上げた上で新たに期末手当を支給することといたしまして、年収ベースで大幅な改善を図ったところです。 加えて、休暇・休業制度につきましても、全国的にもまれな家族の看護のための休暇を措置するなど、国と比較しても有利な制度としてきました。そして、常勤・非常勤の区別なく育児と仕事の両立のための環境整備を一層進めるため、この一月からは、これまで無給であった産前産後休暇等を有給化しており、さらに、今定例会においても、会計年度任用職員の育児休業の取得要件を緩和するための条例改正を提案しております。 会計年度任用職員制度の運用におきましては、引き続き、総務省で定めたルールに基づき、職務内容や業務量を踏まえながら適切に対処していくとともに、会計年度任用職員も含めた全ての職員が力を合わせ、生き生きと働ける職場環境づくりに努めてまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 斎藤観光文化スポーツ部長。 ◎観光文化スポーツ部長(斎藤直樹君) 雪を生かした観光誘客についてお答え申し上げます。 さきに開催されました北京二〇二二冬季オリンピックでは、本県にゆかりのある選手の活躍に勇気と感動を与えていただいたところでありますが、中でも、小国町の横根スキー場で幼少期からトレーニングを積み、金メダルに輝いた平野歩夢選手の活躍は、山形県民にとって誇りであると思っております。また、横根スキー場が日本スノーボードハーフパイプコースの草分けであり、平野選手のホームグラウンドとして紹介されたことは、スノースポーツの本場としての本県の知名度向上に大いに寄与したものと考えております。 これまで、県の公式観光ホームページやSNSでも情報発信を行ってきましたが、今後とも、小国町や地元の観光協会などとも連携し、金メダリストとなった平野選手ゆかりの地として、様々な機会を捉えPRに努めてまいります。 県では、これまでも雪を貴重な観光資源と捉え、上級者から初心者まで安全に楽しめるスキー場や世界に誇る蔵王の樹氷、県内各地で展開される雪祭りなどに加え、冬の温泉や食文化と組み合わせた多彩なメニューを提供し、多くの観光客に訪れていただいているところでございます。 台湾やASEANからのインバウンドなどでは、雪を見て・触れることそのものが極上の体験と捉えられているなど、雪の楽しみ方や価値観などについても多種多様になってきております。 県内においても、スキーやスノーボードだけではなく、ニーズの多様化に合わせ、そり滑りやバナナボートなどを気軽に体験できるスノーランドが県内各地に整備されているほか、スノートレッキングによる自然ウオッチングや雪中キャンプ、雪掘り体験など、様々なスノーアクティビティーが楽しまれており、ファミリーや個人向けにも提供されるようになってきております。 県といたしましては、本県の強みである冬の観光誘客の底上げを図り、インバウンドの再開やポストコロナにおける観光需要の回復を確かなものとしていくため、今回の横根スキー場における平野選手の金メダルストーリーなどもPRさせていただきながら、従来の冬の商品にさらに磨きをかけ、雪を観光資源として活用した新たな冬の観光素材についても、積極的に旅行会社とタイアップして情報発信や観光プロモーションの展開に取り組んでまいります。 こうした本県のスノーツーリズムの魅力発信を通して国内外からの観光誘客を図り、地域経済の活性化につなげてまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 高橋農林水産部長。 ◎農林水産部長(高橋雅史君) 県産米の消費拡大についてお答え申し上げます。 長引くコロナ禍の影響や食生活の変化などにより、米の消費量は全国ベースで毎年十万トン程度の減少トレンドが続いており、需給バランスの不均衡が米価の下落につながっております。米価の安定に資するとともに、米農家の皆様の生産意欲の維持につながる県産米の消費拡大は非常に重要な課題であります。 こうした中、県においては、米をはじめとする農産物の消費拡大に向け、単なる価格補填にとどまらず、将来に向けた消費拡大や県産農産物のファンづくりにつながるなど、継続的・複層的な効果を得られるかという点も重視し、施策の展開に取り組んでおります。 具体的に申し上げますと、未来を担う児童生徒に県産米のおいしさを味わってもらい、将来の県産米ファンを育てるという見地から、県産米を使った米飯給食の実施回数の拡大に取り組んでおり、その回数は週当たり四・二回と、全国トップレベルとなりました。近年においては、米飯給食実施回数の拡大から、つや姫の導入やおかずへの県産農産物・加工食品の導入などに対象を拡大しております。さらに、米粉に対する支援も併せて行っているところであります。こうした取組により、県産農産物の利用が学校給食に定着し、将来に向けたファンづくりが着実に進んでいると考えております。 また、コロナ禍における業務用米の需要減少に対応するため、県外にお住まいの御親戚等に県産米のおいしさを味わっていただき、他県産米からの乗換えを促進する「県産米贈ろうキャンペーン」を展開しております。同様に、県外を中心に、大手企業の社員食堂において、米をはじめとする県産農産物を使ったメニューを提供する「山形フェア」を開催し、県産米のおいしさを実感いただくことにより、継続的な取引につなげる取組も実施しているところであります。 加えて、来年度の新規施策といたしまして、県内のホテル・旅館等において、仲居さんなど従業員の方が県外からのお客様につや姫、雪若丸をはじめ県産米のおいしさをPRいただくための研修等を支援してまいります。また、食生活の変化に対応した米の消費拡大を図る見地から、米粉を利用したパンやケーキ等の普及拡大に向け、まちのパン屋さん・お菓子屋さんでの米粉利用拡大に向けた支援を新たに講じたいと考えております。 御指摘の福祉施設等の給食につきましては、平成三十一年度に調査した結果、御指摘の人員確保の難点などに加えまして、施設利用者の健康状態に応じて味の濃淡や飲み込みやすさ等を考慮した栄養管理や食事が求められていることから、調理業務の負担軽減やコスト削減を図るため外部委託する施設の割合が増えていることなどが大きな要因と考えられているところであります。 一方、福祉施設の給食につきましては、御指摘のとおり、その規模も非常に大きいものでありますので、県産米のさらなる導入拡大につきましては、将来に向けた取引継続等支援効果の視点も加え、利用拡大につながる施策について、引き続き研究を進めてまいりたいと思います。 以上であります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 菅間教育長。 ◎教育長(菅間裕晃君) 公立学校校長の女性登用についてお答え申し上げます。 女性の管理職登用のためには、女性教員がより身近なところで、ロールモデルとなるような女性管理職に接する環境づくりが重要だと考えております。また、学校教育において、児童生徒が男性管理職のみならず女性管理職にも日常的に接することは、子供たちの男女共同参画や女性活躍の意識を醸成することにもつながると考えております。 本県の今年度の女性管理職の状況につきましては、小学校は校長二百二十七人のうち三十三人で一四・五%、中学校は校長九十二人のうち五人が女性で五・四%となっており、全国平均に届いておりません。 県教育委員会としましては、こうした状況の改善に向け、適材適所を基本としながらも、将来、管理職として重責を担うことを視野に、女性教員を学校運営の中心的な役割である教務主任や学年主任などに積極的に登用することなどを通して、担任としての教育活動だけではない、様々な分野の仕事とそのやりがいについても理解促進に取り組んでまいりました。 その結果、小・中学校の校長・教頭に占める女性の割合について、五年前と比較しますと、平成二十九年度は一〇・三%であったものが、令和三年度には一九・三%に伸びております。 また、校長登用の前段階の女性教頭の割合に限りますと、小学校は教頭二百三十四人のうち七十一人で三〇・三%、中学校は教頭九十五人のうち十六人で一六・八%となり、全国平均を上回るところまで到達しております。今後は、これを着実に校長登用にもつなげてまいりたいと考えております。 さらに、キャリアステージに応じたミドルリーダー研修などを通して、より広い視点で学校運営について考えることができる環境づくりにも努めております。 なお、仕事と家庭の両立などを理由に管理職選考試験に志願しない教員もいることから、女性管理職の登用に向けた取組をさらに進めるに当たっては、男性や家庭の理解や、学校における働き方改革も同時に進めていく必要があります。 引き続き、小・中学校の服務監督権者である市町村教育委員会と連携し、ワーク・ライフ・バランスの視点からも、介護休暇をはじめとした各種休暇の取得しやすい職場づくりに一層努め、女性も管理職を志願しやすい条件を整えるとともに、現に管理職である者にとっても、十分に能力を発揮できる職場環境づくりを進めてまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 以上をもって本日の日程は終わりました。 明日定刻本会議を開き、議案に対する質疑と県政一般に関する質問を併せ行います。 本日はこれをもって散会いたします。     午後二時二分 散会...